2015.03.20 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.現在、生殖技術についての法制化が議論されています。精子・卵子の提供、代理出産を認めるという内容の法案です。こうした第三者の関わる生殖技術の一番の当事者とは誰でしょうか。
この本は、これまで60年以上行われ続けてきた精子提供(AID:非配偶者間人工授精)により生まれた子どもの体験をまとめたものです。子どもといっても、ここに登場する当事者は全て、大人になってから自らの出自を知った人ばかりです。AIDは秘密にすることがよいとされ、子どもにも決して明かすべきではないこととして扱われてきました。しかし、生まれた人が大人になり、家庭内の何らかの危機(親の病気や離婚)により、その事実を知ることになります。突然知らされた自分の出自をどう感じ、どう受け止め、親との関係はどうなっていったのでしょうか。当事者自身が当時感じたことを、そのままに記した体験談部分がこの本のメインとなっています。
生殖技術は不妊治療の延長として行われており、これまでは技術を選択するカップルが当事者として考えられてきました。技術を使って不妊状態が解決される、そこで終わりだと思われてきたのでしょう。しかし本当にそうでしょうか。技術の結果、新たな生命が生まれます。生殖技術の一番の当事者は生まれた子どもです。その声は、家族とは何か、子どもを持つことの意味は何かという根源的な問題をも問いかけています。AIDで生まれた当事者が声を挙げ始めた今こそ、これまでの精子提供の歴史を振り返り、評価し、考えていく必要があるのではないでしょうか。(共著者 石塚幸子)
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