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7.5京都教育大事件から大学の性暴力問題を考える緊急集会・大阪 報告  古久保さくら

2009.07.09 Thu

7月5日(日)大阪天満橋のエル大阪にて、キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク関西ブロック主催の集会、「7.5京都教育大事件から大学の性暴力問題を考える緊急集会・大阪」が開催された。大学関係者や市民など70名ほどの参加があった。

 司会のキャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク関西ブロックの吉野太郎さんから、会の趣旨説明があったのち、「性暴力を許さない女の会」の青木あさ代さんからは、「大学人の人権意識の欠如について―性暴力が起こる背景とその対応に向けて―」と題した発表が行われた。教授を頂点とする大学における権力関係などがセクシュアルハラスメントの生じる背景にあることを指摘し、相談件数が増加傾向にある現状と、大学におけるセクシュアルハラスメント事件への対応が、ときとして被害者の保護や回復を軽視する傾向にあることなどの問題点が指摘された。 弁護士の養父知美さんからは、「強姦犯は、なぜ処分されないか?強姦罪の問題点」と題して発言があった。強姦事件が刑事事件として発覚せず暗数化する傾向があること、そこに被害者に泣き寝入りを強いる構造があることの問題性を強調された。この構造のなかに、被害者バッシングが存在することも指摘された。一方、警察に告訴したとしても起訴率が強盗などの他の犯罪と比べると低くなりがちであることなどが、犯罪白書などのデータを用いて説明された。また、強姦罪については、「抵抗を著しく困難にさせるだけの暴行、脅迫」が強姦罪の要件となっているゆえに、合意が争点になりやすく、法廷刑が3年以上の懲役ということで、執行猶予がつけられる程度の刑罰になっているなど、強姦罪そのもののもつ問題性が指摘された。

 キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク会員の吉野太郎さんから、7月1日に文部科学省へ申入れを行った内容について報告があった。申入れ全文は
http://www.jca.apc.org/shoc/090701.html

において読むことができる。キャンパス・セクハラ全国ネットからは4名が文部科学省を訪問し、専門官など5名の官僚と面談。「京都教育大学における事件をめぐる対応についての文部科学省の認識は、申入れ書における全国ネットワークの認識と一致している」との文部科学省による見解を得ているということであった。

 また、全国ネットワーク会員の田宮遊子さんからは、論点整理もかねてということで以下の5つの論点が提示された。
1) 被害者の救済と権利回復のためにすべきことは何か
2) 加害者処分と再教育はどうあるべきか
3) 学内構成員への説明責任
4) 性暴力問題に関する日常的な防止活動
5) 性暴力の発生を許容する大学の構造的問題

 その後、フロアを交えてのディスカッションが行われた。

 さまざまな議論を通じて、多くを考えさせられた集会であった。同時に「再発を防止するための教育とはどうあるべきなのか」「キャンパスのなかで被害者を孤立させないための環境をどうつくるのか」など、大学教員として重い宿題を課せられたように思う。

カテゴリー:キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク / 均等待遇アクション21京都

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