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第10回アジア連帯会議に参加して - 木下直子
2011.08.21 Sun
2011年8月13日、14日と、第10回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議が韓国ソウルで開催されました。今回のテーマは「日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯20年の活動の評価と今後の進路――記憶、教育、そして連帯」です。私は12日に渡航し、その日のウェルカムパーティから会議閉会後の関連行事まで参加し、有意義な時間を過ごすことができました。会議参加者の方には10日の水曜デモに参加するために、早くから現地入りされた方も多いようでした。
今年は「慰安婦」被害者の金学順さんの名乗り出から20年であり、そのような長い年月、問題解決のためのたくさんの取り組みがなされてきたにも関わらず被害者の納得のいく解決には至っていないことに情勢の深刻さを感じ、また日本の主権者の一人として申し訳なく思いますが、国際的な連帯の場に参加することで、被害者の尊厳を守り、立法解決の気運を高め、この問題を記憶していく決意を新たにする機会となりました。
今回のアジア連帯会議は韓国在住のハルモニたちだけでなく、タイ在住のノ・スボクさんと映画『オレの心は負けてない』でもおなじみの在日朝鮮人の宋神道さんという海外在住の「慰安婦」被害者の女性たちが一堂に会した奇跡的な場となりました。ノ・スボクさんは医者と相談されて、体調を整えられ会議に来られたそうです。宋さんも安心できる東京の支援者に付き添われ韓国入りされたことが本当によかったと思います。
各国の参加者は、韓国、日本、フィリピン、台湾、東ティモール、タイ、カナダ、ドイツ、アメリカなどから、支援団体メンバーや議員、研究者、ジャーナリストたち約150名です。朝鮮民主主義人民共和国は文書での参加となりました。
13日はこれまでの調査の成果と課題について、立法解決活動の経過報告と課題について、国際連帯活動の評価と課題について、被害者支援活動の成果と課題について、記憶・教育・継承についての報告がありました。また、宋神道さんの証言、堂々としたスピーチが行われました。14日は総合討論が行われ、決議文および行動計画が採択され、お昼過ぎに閉会となりました。
その後、関連行事として、「戦争と女性の人権博物館」オープン予定の場所での地鎮祭にみんなで移動しました。15日は金学順さんや他の「慰安婦」被害者が眠る天安の「望郷の丘」に会議参加者たちで訪れました。
行動計画では、公式謝罪と賠償のための立法のために国会と政府に働きかけることが確認されました。また、今年の12月に予定されている第1,000回の水曜デモでは各国で大々的な連帯行動をするグローバルキャンペーンが計画されました。これには、現在「慰安婦」問題の解決に取り組む活動や支援運動に関わっている人たちだけではなく、かつて被害者に共感し行動されたことのある方や、性暴力に反対していくあらゆる領域の人方々の協力が必要です。具体的なことはこれから決まりますが、ぜひ、WANを見ていらっしゃるみなさまには、ともに連帯していただきますようお願いいたします。
このたびのキーワードでもあった「記憶」については、博物館や資料館などの活用、また教育の場で教えていくことが重要となってきます。若者に運動に関わってもらうことも大事でしょう。私個人は、より多くの研究者の方々に、1990年代のように積極的に発言していってほしいと思っています。被害者が少しでも多く存命のうちに、評価できるような結果を出せるよう、今こそ国際的に連帯し、なにより国内で連帯し、盛り上げていくことが大事だと実感しました。
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