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坂上香監督新作 『トークバック 女たちのシアター』を応援します! 岡野八代

2013.03.18 Mon

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.映画『ライファーズ』をはじめ、暴力の加害と被害を見つめ続ける著作も多い坂上香さんが、今新作『トークバック 女たちのシアター』完成に向けて、最後のラストスパートにはいっています。

映画の作成のための短いショットとともに、坂上さんご自身による映画の紹介もこちらからよむことができます。

先日3月17日には、ファンド・レイジングも兼ねて、坂上さんを囲むトークショーが開催されました。

わたしは残念ながら、参加することが適いませんでしたが、以下のメッセージを当日送りました。

——-

坂上香さんへ

今日、会場をともにできずにとても残念ですが、もしこの場にいれば、新作『トークバック』の映像の力に圧倒されて、言葉がでてこなかったかもしれないと思い、こうして、遠くから言葉だけをお届けするほうが、わたしにはよかったのかもしれません。

坂上さんのこれまでお仕事は、アミティとの長い交流と取材から生まれた『ライファーズ』ほか、いつもわたしに人生は長い、とても長い旅のようなものだと気づかせてくれました。人生は、とても長い、長い旅なので、行き先を修正したり、もう一度同じ道を行ったり来たり、立ちつくしたり、そして、終点はどこにあるのか、誰も知らない旅のはずです。

そう人生は、やり直しがきくはずの、もう一度出発点にもどってみてもいい、旅なのです。

でも一方で、現代の社会は、始発点から終着点まで一直線の、緊張した糸のように、わたしたちの人生を扱いがちです。その糸は、切れやすく、融通も利かず、巻き戻しも、繕いの機会も許してもらえません。

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人生を見つめることは、自分のうちにある暴力性や被害者性、自分自身の弱さや、自分の力ではどうにもならなかったことを、何度も吟味し直すことだと、映画『ライファーズ』から学びました。ご著書『ライファーズ』での、「私たちは、彼らのことを何も知らない」(107頁)という坂上さんの言葉には、「彼ら」のこととは、わたし自身のことだとはっとしました。

もう一度生き直そうとして、ファミリーを求める気持ちの大切さ。花でもネコでもいい、自分がそばにいたいと思うモノを見守ることの有り難さ。だれかの輪の中にいること、いたいと思えることが、もう一度わたしたちに、人生の長い、長い旅の一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。

『トークバック』は、一歩足を進めて、人生の舞台に再び立つこと、立とうとすることには、やはり一緒に輪を作れる仲間が必要であることが表現されるのでしょう。そして、抑圧と沈黙が刻印された女性たちの身体が動きだすとき、わたしたちの社会的生の意味もまた、現在とは異なる舞台を必要としていることに気づかされるに違いありません。

彼女たちと坂上さんの8年もの時間と想いと経験と、そして友情の結晶である『トークバック』にもうすぐ出会える喜びとともに、一日も早い完成を祈願いたしまして、メッセージにかえさせていただきます。

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タグ:映画 / 坂上香 / 岡野八代