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高林実結樹 の認知症予防活動

2013.11.23 Sat

第5話 超高齢社会の求めに応えよう!!
~NPO法人認知症予防ネット10年の歩みとこれから~

2002年から始めた私達のグループ活動を1年ほどずっと注目し、運動内容を理解してくれる方が現れました。
2003年 その理解者から、グループ活動でなくNPO法人を立ち上げて、助成金などを申請し、本気で活動に取り組むようにと背中を押されました。活動に助成金などの資金が必要な理由は、主として人件費です。
メンバーは4人で発足しました。認知症予防ネットの活動は、条件を問いません。活動日の約束が決まると、遠方で宿泊出張になろうとも、家庭の主婦であろうとも、家事を放棄して講演や教室支援に行く責任がかかってきます。4人とも認知症予防ネットの貧しい台所事情は承知の上ですから、相談して経費を有償ボランティアよりも低く押さえることにしました。お弁当持参で1日がかりでの出張は3,000円、時間給の場合は1時間500円、交通費は実費としました。有償ボランティアの現実を知る人からは、「NPO法人でも永続できる金額だ」と言っていただきました。早速法人設立の申請手続きに取組みました。

2004年 9月に、京都府知事から特定非営利活動(NPO)法人設立の承認をうけました。
知事の大きな角印が押された法人承認の書面を手にした時から、「特定非営利活動法人痴呆予防ネット」(当初の名称)という準公的な活動がスタートしました。
法人誕生の直後に国をあげて「痴呆」という名称が「認知症」に変更されたため、翌年度の総会の決議を経て法人名を「認知症予防ネット」に変更しました。開設しているホームページも「NPO法人認知症予防ネット」と改めました。

ブログのページには時間を惜しまず、こまめに活動報告を掲載します。すると思いも寄らぬ遠方や未知の方々から講演依頼、教室開設支援の依頼をいただくなど、スリーAの広報運動は広範囲に拡がり始めました。また講演を聞いてくれた看護師さんの質問にうまく答えられなかったことが契機となって、その方が活動メンバーに入って下さるなど、想定外の出来事もありました。

2005年 春から自主教室を旧木津川町で開催、続いて7月から12月まで、八幡市からの事業委託を受けて、発病前の低下段階、“MCIレベル”(軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment))に揃えた本格的な予防教室を、週1回通算20回で終了する“通所型教室”を実施しました。これはほぼ5ヶ月と長期にわたり、公共事業でもあるので責任が重く、引き受ける時は崖から飛び降りるような覚悟でした。結果は増田先生の応援をいただいて、すばらしい成果をあげることができました。

すばらしい成果とは教室参加者さんたちの、生活面とデータが示す改善の結果です。データは、MMSE(Mini-Mental State Examination)テストを使用しました。
MMSEは30点満点の対面簡易テストです。それを教室開始前と終了時に行って、点数の比較をします。平均で3.9点もの上昇をみたのです。
MMSEは、認知症の疑いがある被験者に対して行われる主に記憶力、計算力、言語力、見当識(現在の年月日や、100から7を5回引き算する、自分がどこにいるかなどを正しく認識しているか等簡単な問答)を測定するテスト。

このテストは広く用いられています。厚生労働省の「平成16年度老人保健健康増進等事業」による調査研究報告書をみると、全国に点在するスリーA方式を学んだ予防教室の成果は2.76点が上昇点数の平均値とあります。2.76の全国平均に対して、八幡教室は3.9のアップでしたから、各段の高成績と言えます。 

増田先生が運営される同じ条件の20回教室では4点上昇とききますから、増田先生にせまる高成績と言えます。増田先生の応援がなかったら、とてもこのような高い成果は得られなかったでしょう。この教室を体験したことで、私も含め活動メンバー皆に自信と確信が強くなったと思います。

2006年 宇治市内でシンポジウムを開催しました。シンポジストは私達が関係して誕生したスリーA方式の認知症予防教室開催担当者です。参加者は北は京都府与謝郡から、南は大阪府泉南市から、と近畿地方の方々です。実地に予防教室を運営された中で、良かったことと反省点を、ナマの体験から話していただき、記録冊子も作成しました。

2007年 大阪府交野市から、認知症予防ゲームリーダー養成講座のご依頼をうけ、そこで使用するテキスト作成を初めて手がけました。
同年10月から宇治で主催したゲームリーダー養成講座は、関係者からの勧めで京都府の「地域力再生プロジェクト」に助成金を申請し、「スリーA増田方式の脳活性化ゲームインストラクター養成講座」としました。この時にもテキストを作成しました。

2008年 テキストを読み返すと、ルールブックの趣です。なぜ?という意義が説明不足です。養成講座を実施すると、様々な気づきが現れて、解説したい内容が増えるのです。せっかく仕上げたつもりのテキストを、書き直し、書き加え、推敲を重ねました。そしてついに予防ゲームの進め方や、スリーAで強調される「優しさのシャワー」の具体的方法の解説、認知症についてのさまざまな心得なども加え、編集や挿絵の支援者にも恵まれて、A5判、120ページの解りやすく手軽いテキストが完成しました。
増田先生からは温かいお心入りの巻頭言をいただき、「認知症予防ゲームテキスト」と題し7月15日、出版(本体1,000円)しました。好評で初版以来6,000冊を超えて社会の役に立っています。

私どものホームページでスリーAを初めて知ったと、テキストを注文された北海道の方が、スリーAと全く接点がなかったにもかかわらず、在宅で親子3人が指のゲームをしておられたところ、認知症になられた親御さんに笑顔が出るようになったと喜びのお便りを頂いたり、施設で活用しているが、と質問が来たり、嬉しい反響をいただきました。

2009年 講演やフォーラム等の活動の地域が、東京から沖縄県まで1都、2府、10県に拡がりました。

カテゴリー:認知症予防ネット

タグ:認知症 / 高齢者 / 高林実結樹