エッセイ

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「旅は道草」その3 中国語で「開心」とは「うれしい」の意

2009.07.16 Thu

// 中国では、「80后」(バーリンホォ)、1980年代生まれ、超新人類の若者たちが何かと話題。「70后」の理想主義者から、彼らは現実主義者と揶揄される。
 中国の世代間格差は日本のそれより、はるかに大きい。何しろ改革開放以降、中国の激変は日本の比ではないのだから。 お正月、上海を訪ねた。福州路の本屋街、上海書城では、小中学生向け800字作文集など受験本が飛ぶように売れていた。その前の大通りには老女たちが3人、ゆったりと日向ぼっこをしていた。
 准海南路のあたり、中国社会主義青年団中央機関旧址を探して道を聞くが、みんな「なんで、そんなところを探すんだ?」と不思議がる。
 虹口地区の内山書店跡は中国工商銀行の2F。戦前、金子光晴や吉行エイスケなど日本の文学者や左翼が、たむろした場所。内山完造が行き来した、近くの魯迅故居を訪れると、今は、ひっそりと誰もいない。
 虹橋地区は高級住宅街。サクセスストーリーを歩む若い上海人たちが住んでいる。知人の馬さん宅を訪ねると息子は中学受験で猛勉強中。息抜きは愛犬ダイモン(薩摩耶・シベリアンスピッツ)と戯れること。マイカーもトヨタのレクサスの新車だ。
 同級生の楊さんが開くレストラン魚鱗門で会食。5歳から70代まで4世代家族が集まり、談論風発。
 「ITはもう古い。これからのトレンドはわからないけど、世界中、どこへ行っても活躍するには語学が必要。だから息子は上海外語附属中学に進ませる」と。
 親世代と子世代の価値観は大きく違う。しかし和やかな雰囲気の中で、長幼の序はまだまだ生きている。子どもたちは親たちに実に優しい。
 昔ながらの古い街角を壊し、上海万博に向けて、超高層ビルの建設ラッシュが進む。足場は竹組み、道路は車優先、スモッグで昼間の太陽も隠れるくらいだが、中国人の若いエネルギーは止まるところを知らない。
 中国語で「開心」とは「うれしい」の意。心を開けば、大いに愉快。いい言葉だなと思った。
(やぎ みね)

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