2009.07.21 Tue
専業主婦の世界は閉ざされている。とりわけ、子育て中はなおさらだ。
まだ、わたしが子育て中の専業主婦だったころ、まだ歩けない赤ん坊と、歩いてもすぐ「抱っこ」とせがむ2歳児をつれての外出は苦痛だった。幼児連れでは外食もままならない。公園と家とスーパーだけを往復する日々。仕事で夫は帰りが遅く、大人と会って話したのは、宅急便のお兄ちゃんとだけなんて日も珍しくない。人と話したい。だれかとつながりたい。そんなじりじりとした切実な思いを抱えた暗い毎日。つらくて、孤独で、だれにも自分の苦しさをわかってもらえない。そんな時に出会ったパソコン通信は、家にいながらにして、人と強くつながれる全く新しい媒体で、わたしはすっかり夢中になったものだった。 パソコン通信は、いまやインターネットに置き換わったが、子育て専業主婦や足が弱った高齢者など家に閉じこめられがちな人にとって、インターネットは世界を広げ、人とつながる最高の道具となるだろう。
7月19日、名古屋(同朋大学成徳館)で開かれた「ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)」を応援する女たちの集まりは、「つながりたいという情熱」に満ちていて、わたしはパソコン通信にはまっていた頃の自分を思い出したのだった。
「ウェブがつなぐ女たち~あなたに伝えたいこと」と題したWAN名古屋集会は、200人をこえる多くの参加者を迎えて、上野千鶴子氏による基調講演とパネルディスカッションが行われた。基調講演では、フェミニズムへのバックラッシュがおこる理由や、WANができた背景、設立の目的が。またパネルディスカッションでは、4人のパネリストからのほか、会場にいた地域で活動する団体代表者などから、WANに期待することなどが語られた。表現はさまざまだったが、どの人からも発せられたのが、「孤立しながらも助けを求めている人が、そこにいけばなんとかなるという場に、WANがなってほしい」という願いだった。男性中心社会の中で、弱い立場におかれてきた人、声を挙げにくかった人が、安心して自分の思いを訴えられる場所。時空をこえて、出会い、つながることができる場所。そんなやさしい場所が、ネット空間上にWANとして出現することへの期待と応援のメッセージが、口々に語られたのだ。
かつて、つながりたい女たちは、ガリ版をすり、紙媒体を郵送して、メッセージを発信していた。インターネットという双方向の新しいメディアが発達した今、WANで女たちは思いを発信し、つながろうとしている。
つらい思いは1人で抱えていても、解決できない。言葉にして、だれかに聞いてもらうことで、はじめて何かが変わるのだ。わかりあい、人と人がつながることで、何かが生まれる。そしていずれは、世の中の流れを動かす大きな力につながっていく。
「連帯って、楽しい!」そう思える、ワクワクするような出会いの場にWANがなるなら、きっと10年後は新しい社会になるだろう。WANをつくるのは、わたしたちだ。いまの社会を変えたい!そんなあなたに、ぜひWANに参加してほしい。「あなた」と出会える日を、わたしは待っている。
カテゴリー:WANの活動