2009.07.29 Wed
女性差別撤廃委員会日本報告審査現地活動に参加するため、7月21日から25日まで3泊5日で、ニューヨークに行ってまいりました。私がこの活動に参加したのは、2004年に実施した在日朝鮮人女性実態調査で明らかになった在日朝鮮人女性固有のリアリティ・ニーズ・被差別状況を肉声で届け、少しでも在日朝鮮人女性への差別を解決したいと思ったからです。 7月22日JNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)主催のランチタイムブリーフィングでの意見表明、その後委員へのロビーイングを繰り返し、7月23日審査傍聴、その後記者会見、夕方には「政府&NGOの懇親会」というスケジュールでした。
このレポートでは、マイノリテイ女性(中でも在日朝鮮人女性に軸足をおいて)に限定して私の感想を述べたいと思います。そもそも女性差別撤廃条約は、国籍や法的地位をとわず領土内の全ての女性を対象としたものであり、日本政府の政策の影響を受けるすべての女性の権利を擁護し、その人権の推進を求めるものです。2003年の審査では、「委員会は日本政府に対し、次回のレポートでは、日本におけるマイノリテイ女性の状況について、分類ごとの内訳を示すデータを含む包括的な情報、とりわけ教育、雇用、健康状態、受けている暴力に関する情報を提供することを求める」と勧告しています。
しかしながら今回の審査における日本政府のマイノリテイ女性に関する発言は、私の手元の記録によると、「類推的適用、等しく適用されている」といった言葉が示すように、法令の紹介にとどまる抽象的なものにすぎませんでした。固有のニーズに対する取り組みについても「ニーズに配慮しないわけではない」と、極めて消極的な発言もなされました。具体的なマイノリテイ女性固有のリアリテイやニーズを示す数字や情報は皆無でした。
このような日本政府委員のマイノリテイ女性への姿勢に対して、委員から厳しい発言が続いたのはいうまでもありません。「マイノリティ女性について、調査をしたことがあるのか?そのような計画があるのか?マイノリテイ女性に関する統計は?」と、基本的な具体的な指摘がなされました。さらに、社会的にスティグマを負わされたマイノリテイ女性への差別の禁止が指摘されました。
日本政府の姿勢と委員の認識のギャップはたいへん大きなものでした。女性差別撤廃条約は、第2条締約国の差別撤廃義務において「遅滞なく追求することに合意し」と定めていますが、国際社会の人権水準は、6年前の勧告に応答できていない事態を厳しく指摘しています。これは恥ずかしいことではないでしょうか。日本政府は認識を改めるべきです。
政府&NGO懇親会の場で、内閣府男女共同参画局長岡島敦子さんを含め3名の日本政府の方々に、「ニーズはここにあります。是非読んで下さい」と言葉を添えて、在日朝鮮人女性実態調査報告書を手渡してきました。あらためて、在日朝鮮人女性のリアリティはFace to Faceでなければ、伝えにくいものであると感じました。
帰国or日本再入国して3日目、日本政府が、沈黙を破りはじめているマイノリテイ女性の経験やリアリティ、そしてニーズに向き合う事から逃げず、真摯な姿勢で臨んで頂くために、私に何ができるのかを考え始めました。
今回の現地活動を振り返ってお伝えしたいことは、JNNCやIMADR(反差別国際運動日本委員会)の運動を積み上げてこられた女性たち、そして女性差別撤廃にむけ尽力されてこられた多くの女性たちへの感謝の気持ちです。彼女たちとのつながりがなければ、声を届けることはできなかったと思うのです。
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