2010.01.22 Fri
北京女性会議から15年を迎えようとしている。あの年、NGOフォーラムに世界から集まった3万人の女性のうち、6,000人が日本女性だった。世界の熱気に触れ、そして20年にわたる日本の蓄積が、決して世界にひけをとらないことを実感して各地に散った。そのパワーが消えてなくなったはずはない。
あれから15年。そして「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け」られた男女共同参画社会基本法が制定されてから10年。日本のジェンダー平等は法制の上では進んだのに、その間に日本は経済危機を迎え、政治は保守化し、バックラッシュが強まった。女性の労働環境も著しく悪化した。
2009年になって、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本政府にあてて19項目にわたる包括的な勧告を行った。85年に批准された国連女性差別撤廃条約の遵守を求め監視する役割を果たすもので、前回(2003年)の審査で勧告された事項が、十分に取り組まれていないことを遺憾とし、前回の勧告実行を求めるものである。その19項目には、以下のような項目が並んでいる。条約の法制化、特に個人の苦情を国際機関に訴えることのできる選択議定書の批准、国内推進機関の強化、政治・公的活動への女性の参加の促進、雇用や教育における男女平等などなど。どれも基本的な事柄ばかりなのに、一向に状況が改善されないことを憂慮したものである。 中でも予算措置を伴わずに直ちに着手可能な勧告がある。それは長い間懸案になっていた民法改正である。保守政権内では、政権与党内の抵抗によって国会に上程されることすら阻まれていた。その中には、選択的夫婦別姓や婚外子差別の撤廃のほかに、最低婚姻年齢の男女の違いや、女性のみに課せられる再婚禁止期間などのジェンダー非対称な規定の改廃がある。いまの保守政権のもとでは…と思っていたら、昨夏、政権交代が起きた。政権が変わったことを実感できる変化を味わうには、民法改正を実現してもらいたいものだ。
初出:(財)日本女性学習財団発行 『月刊 ウィラーンWe learn』 No.682「巻頭言」2010年1月1日発行
付記)CEDEW 勧告について以下のシンポジウムを開催します。—————————————————————-
公開シンポジウム「日本のジェンダー平等の達成と課題を総点検する―CEDAW(国連女性差別撤廃委員会)勧告2009を中心に―」の開催について————————————————————
「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け」られた男女共同参画社会基本法が制定されてから10年。女性差別撤廃条約が採択されてから30年。日本のジェンダー平等はどこまで進んだのか。
2009年7月、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)において、日本の女性差別撤廃条約実施状況の第6回報告が審議された。日本審査の総括所見では、「条約のすべての条項を系統だてて実行するという政府の義務を果たすよう、あらためて求める」19項目にわたる包括的な勧告が行われた。前回2003年の審査で勧告された事項が、十分に取り組まれていないことを遺憾として、前回の勧告の実行を求めるものである。
その勧告にもとづいて、女性差別撤廃条約の採択から30年の間、日本でジェンダー平等がどこまで達成され何が課題なのか、をジェンダー研究の立場から理論的かつ経験的に総点検する。
◆ 日 時 2010年3月13日(土) 13:00~17:00
◆ 場 所 日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)
詳細は以下のホームページをご参照ください。
○日本学術会議事務局ホームページ
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/85-s-1-1.pdf
【参加申込等】
事前のお申し込みは必要ありません。
定員300名、当日先着順、開場12:30。
参加費は無料です。
【問い合わせ先】
日本学術会議事務局第一部担当 小林
Tel: 03-3403-5706
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