2010.03.09 Tue
選択的夫婦別姓制度導入や婚外子差別撤廃の「民法改正を求める!3.3決起集会」(主催・同実行委員会)が3月3日、憲政記念館で開かれ、与野党の国会議員や弁護士、市民や報道関係者など約400人が参加した。
オープニングに先立ち「はやくこいこい民法改正」寸劇が行われ、弁護士や家族法学者などが熱演を披露した。
まず、実行委員会委員長の榊原富士子弁護士さんが「昨年、2人の大臣が今国会で成立させようと元気な声を上げてくれた。これを、後押しせねば、ということで、この集会を開催した。もっと盛り上げるスタートにしたい」と挨拶した。
続いて、実行委員で早稲田大学教授の棚村政行さんと慶応大学教授の犬伏由子さんが、現行民法の問題点や法制審議会の答申内容などについて解説した。 来賓として参加した、96年の法制審答申当時に内閣法制局長官を務めていた大森政輔さんは「議員会館で反対集会があると聞いてファイトが湧いた。もともと氏の異なる男女の婚姻について、氏を同じくすることが必須の事柄であるとは思わない。理
念的にはその自由意思によって、同氏夫婦となるか別氏夫婦となるかが自由に決められて然るべきである。この機会にできるだけ早く法改正の実現を望んでいる。」と挨拶した。
また、96年当時、法務省民事局の参事官だった小池信行さんは「担当参事官として、この作業にほぼ3年にわたり従事した。これは法務省が取り上げた困難な法案の1つだったと思う。当時、私はエネルギーもあり、なんとかこの法案を通したいと正義感に燃え、精いっぱい努力したつもりだが、非常に壁が厚かった。法務省は最終的に法案の提出を断念したが、当時、私は相当落ち込み、多くの方々から『法務省はいつになったら、再度法案を提出できるのか』とお尋ねいただいた。『21世紀のうちには何とかなるでしょう』と申し上げたが、21世紀に入って10年目でチャンスが訪れた。なんとかこの機会を生かしていきたいと思う」と、当時の心境などを披露した。
日弁連会長選挙の候補者の宇都宮健児さんと山本剛嗣さんもかけつけた。
宇都宮さんは「日弁連会長が2月5日に決まる予定だったが、決着がつかず、山本さんと会長選挙で闘っている。お互いに、どちらが当選しても、民法改正に全力を挙げて、みなさんと一緒に闘っていきたい」と、法改正への意欲を見せた。
山本剛嗣さんは「男女の差別という視点だけでなく、日本がきちんと世界の中で存在感を示していくためには、女性が能力をきちんと発揮できるような社会に変えていくことが必要という積極的な意味で民法改正が必要」と話した。
評論家の樋口恵子さんは「96年の法制審答申のとき、民法を改正できる気になって記者会までやった。男女共同参画会議基本問題調査会の委員だった2000年のはめに、夫婦別姓を進めるための論議をせよということになったが、そのころからバックラッシュが激しくなった」と話した。
このほか、テレビ番組「行列ができる法律相談所」に出演している菊地幸夫さんや第二東京弁護士会会長の川崎達也さん、ビジネスロイヤーの草分けの久保利英明さんら、著名な3弁護士が、ユーモアを交えて法改正の必要性を訴えた。
各党からの代表挨拶では、民主党の男女共同参画推進会議議長の小宮山洋子衆議院議員が「民法改正は、私が議員になった目的の一つ。審議会が答申したら、国会で俎上に上らせるのが当たり前なのに出てこない。それで、当時、野党の民主党が他の野
党と一緒に改正案を出し続けてきた。(夫婦別姓ができないために)結婚できない人がいる。少数だから、それを選べなくていいということではなく、足を踏まれて痛い側、困っているという人のために政治があるのだと思っている。優先順位を上げるための働き掛けを強くお願いしたい。なんとしてもこのタイミングで実現ができるように全力を尽くしたい」と、長年の悲願であることを披露した。
公明党代表代行の浜四津敏子参議院議員は「公明党は、かねてより民法改正を主張してきた。選択的夫婦別姓は真の男女平等の実現に不可欠で、多様な生き方ができる社会が本当に豊かな社会。公明党は全力を挙げて法務大臣を後押しして、いいチャン
スが来たという今回、民法改正ができるように全力を挙げていく」と、政府に協力する考えを明らかにした。
共産党の参議院国対副委員長の仁比聡平参議院議員は「日本のすべての政治家のみなさんに呼び掛けたいのは、夫婦同姓を強制している我国の民法の下では、通称の使用が拡大されても、解決できない精神的苦痛と具体的な不利益が多くの場合、女性の
側に強いられ、少なくない若い世代のカップルが法律婚を躊躇する要因になっているという現実があるということを直視しようではないか、ということ」と、訴えた。
社民党の政策審議会長代理の近藤正道参議院議員は「千葉大臣と福島大臣は民法改正で先頭を走ってきた。今がチャンスで、この機を逃していつやるんだという思いだ。21世紀にこの国が世界の人権大国として堂々と胸を張っていくためにも、この国会で民法改正を実現するよう、社民党は全力で頑張りたい」と、意気込みを語った。
集会では、国連女性差別撤廃委員会委員の林陽子さん、元内閣官房長官の野中広務さん、初代男女共同参画局長の坂東眞理子さん、最高裁元判事の泉徳治さん、連合会長の古賀伸明さんからのメッセージが紹介された。また、出席を予定していた千葉景
子法務大臣と福島みずほ男女共同参画担当大臣は、予算委員会出席のため参加できず、文書で決意を表明した。
このほか、ニューヨークで開かれている第54回国連女性の地位委員会(CSW・「北京+15」)に参加している弁護士の大谷美紀子弁護士さんや十文字学園女子大学教授の橋本ヒロ子さんたちはテレビ電話でエールを送った。さらに、全国から駆けつけた民法改正運動団体によるリレートークなども行われた。
最後に、集会アピールを採択し閉会した。
集会への議員および秘書の出席は次のとおり。
【議員】11人
(民主)衆/小宮山洋子議員、本多平直議員
山尾志桜里議員、山崎摩耶議員
参/神本美恵子議員、松野信夫議員
(公明)衆/大口善徳議員 参/浜四津敏子議員
(共産)参/紙智子議員、仁比聡平議員
(社民)参/近藤正道議員
【秘書】19人(複数参加事務所あり)
(民主)衆/井戸まさえ議員、熊谷貞俊議員
郡和子議員、小宮山洋子議員
齋藤勁議員、辻惠議員
参/神本美恵子議員、今野東議員
千葉景子議員、松岡徹議員
円より子議員、簗瀬進議員
(自民)衆/野田聖子議員、参/古川俊冶議員
(社民)衆/服部良一議員、参/福島みずほ議員
(無所属)参/糸数慶子議員
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