2011.05.04 Wed
★「息長い取組み検討会@なごや」報告―林 やすこ(NPO法人参画プラネット)
東日本震災が発生してから1ヶ月半。さまざまな形での支援が繰り広げられています。
4月23日(土)には、東海地域での支援の取組みを進めようと、「息長い取組み検討会@なごや」が開催されました。
この日は、「被災者とNPOをつないで支える合同プロジェクト」(通称、つなプロ)の代表幹事のお一人、
川北秀人さんを名古屋にお招きし、プロジェクトの概要と活動報告を伺い、東海地域での取組みに向けての意見交換が
行われました。
愛知、岐阜、三重など東海地域から、支援に関心を寄せている団体や個人、30名ほどが集まりました。
■「つなプロ」の活動
「被災者とNPOをつないで支える合同プロジェクト」(通称、つなプロ)は、広域的なつながりを活かし、
さまざまの専門分野の専門性をもつNPO、各種機関と被災地をつなぎ、専門的なNPO・機関が連携して、
被災者を支える取り組みや仕組みづくりを進めています。
「つなプロ」のミッションは、「被災地で、これ以上死者・状況悪化者を出さないために、避難地での課題や困りごとを
発見して専門性を持つNPO等の支援へとつなげる」こと。
東北地域の中間支援組織(特) せんだい・みやぎNPOセンター、阪神・淡路大震災を契機に立ち上がった
関西のNPOのネットワーク(スペシャルサポートネット関西)、IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)、
ダイバーシティ研究所、(特)ETICなどが中心になり、合同プロジェクトとして展開しています。
「つなプロ」の初動時のお話をうかがうと、今回の被害の規模の大きさと厳しさは、予想をはるかに上回るもので、
これまでにも支援活動を続けてこられたみなさんにとっても思うように動けず戸惑うこともあったようです。
「つなプロ」の活動を簡単にまとめると…。
(1)大学生をはじめのべ400名のボランティアと各種機関の協力の下で、宮城県を中心に避難所の巡回訪問施を重ね、施設環境のアセスメントと高齢者や障がい者などの少数ではあるが特有の課題をかかえる人のニーズ発見の取組みを行っている。
(2)明らかになったニーズについては、近くの地域内での解決に向けた専門機関等の紹介や広域的に東京など他地域の専門性を持つNPOへとつなげてきた。
(3)活動はいくつかのステージを踏んで進めており、現在はアセスメントの分析を終え、5月からは新たな視点から取組みを進める予定である。地域の力で復興を進めていく過程を大切にしながら、遠くの団体に向けては、専門とする分野での協力を得ながら、より的確なニーズの把握や対応を進めていく。
■復興の道すじ、そして、支援のあり方
被災者の方々の生活は、避難所で暮らすケース(すでに何箇所も避難所の移転をしている方もあるとのこと)、自宅に戻られたケース、
県外に避難されているケースが確認され、これからも長期にわたることが予想されます。
川北さんは、私案としながらも、すこし広い視野から、復興や支援についての方向性を示してくださいました。
ひとつは、被災地の高齢化率と被災規模によって異なるまちづくりや復興のシナリオ。
①高齢者の暮らしの復興と地縁組織の再構築
②高齢者の暮らし復興+基幹産業の回復+コミュニティ活動の再編
③子育て世代の暮らし復興+基幹産業の回復+コミュニティ活動の構築
上記三つのタイプが考えられ、どのケースにとっても、地域の主体的な関わりと地域の意思(will)を確認しながら、
そのプロセスを大切にした支援が求められています。
二つ目には、コミュニティ再生のための今後の支援の方向性。
①被災者全般に関連する一般的な支援
②専門性を持つNPOによる特別なニーズに対する支援
③県外避難者への支援
こうした支援の方向性が考えられ、そのための仕組みづくりへの動きもあるようです。
そして、東海地域に避難していらっしゃる方への支援(情報提供や支援者間の連携、ネットワーク形成等)や 、
被災地とつながり、団体の専門性や強みをいかした支援内容や支援先を探っていくこと、
個人的な支援から団体の継続的な取組みとして検討していくことなどが遠方からの支援のひとつとしてみえてきました。
また、なかなか表に表れないキーワード「女性」。
その視点からの発信やつながりもわたしたちのできる取組みだろうと感じたところです。
―被災地に関心を寄せ、つないで支える。―
「まず、3年!」と川北さんはおっしゃいました。
それぞれの支援を積み重ねていく、息の長い取組みが復興を支えていくのだと理解しました。
なお、この日の参加費は、寄付として川北さんに託し、「つなプロ基金」へと届けられました。
【林 やすこ/NPO法人参画プラネット】
追記1:「つなプロ」の活動報告
・避難所巡回訪問とアセスメント調査の報告@つなプロ
つなプロでは、3月29日以来、のべ400名のボランティアと、宮城県内各地の避難所の管理者や
自治体の関係部門のみなさまのご協力により、避難所の巡回訪問とアセスメント調査を進めています。
http://blog.canpan.info/tsunapro/archive/57(4週目までの概要)
http://blog.canpan.info/tsunapro/archive/50(3週目までの概要)
追記2:中村奈津子さんが、ブログ「流れ星日記」にて、「息長い取組み検討会@なごや」について報告しています。
カテゴリー:震災 / 集会・イベントレポート
タグ:東日本大震災