アートの窓

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渭東 節江(造形作家)   〜創作活動は自分の魂を肥やして美味にすること〜

2009.05.25 Mon


写真左から《快楽の亡者 The Monster of Pleasure》2005、《心の片隅に希望という名の欲望を飼う(KEEP HOPE , THE NAME OF DESIRE IN MY MIND)》2005、《Sisters》2008

※メッセージ、プロフィールは『続きを読む』をクリック!してください。つまるところ創作活動は、自分の魂を肥やして美味にすること、つまり、あの世に行った時、閻魔大魔王様においしく召し上がって頂くためのエクササイズでしかないのでは?と思っています。

実際、体内をめぐる妄想を出すとスッキリする、素材を触っているとキモチいい。
それらの快楽は、自分の気持ちをふくよかにします。学生を終えても創作活動を続けるには、まず経済基盤が必要だと考え、事務員として職に就きました。職に就くと、自分は仕事の場で貢献できていないという劣等感を持ちました。そして図らずもこの思いをケアするために、自分の出来ることを確かめる行為として、アーティストのキャリアをスタートさせることとなったのです。

経済的なことから心情的な部分まで、創作と労働は分ちがたく結びついていました。それはまるで、別れたくても別れられない恋人同士のように。この関係は10年以上も続きました。
ところが、転機が訪れました。住処を西から東へ移す事になり、身辺をサポートするさまざまなインフラを再整備しなくてはならなくなりました。
インフラの筆頭、収入を得る手段は、前と同じように事務員の職を選びました。ですが、今迄のような、創作という方法でケアすべき劣等感はありません。例に違わず非正規の職に就く事になったからです。劣等感をいたわる暇があったら目前の不具合を解消する途を探れ、と、はじめて労働の基本、「効率」という概念を理解したからかもしれません。そして、このショック療法で、創作と労働がきちんと腑分けされるようにもなりました。

自分の創作活動に、セルフケアという役割が薄れたこのごろは、創作とは、言葉ですくい取れない事柄をトレースすることだと考えています。あいまいなものに輪郭をあたえ、新たに取り込みなおすこと。それはすべて自分の魂を肥やすことに繋がります。けれど、これをネタに、素敵なしゃべり相手にめぐりあえれば、なお良し。

渭東 節江
いとう ときえ

■ プロフィール
1967 大阪に生まれる
1990 成安女子短期大学専攻科修了
2006 東京に転居、現在に至る。

個展
2005 心の片隅に希望という名の欲望を飼う(KEEP HOPE,THE NAME OF DESIRE IN MY MIND)(楓ギャラリー/大阪)
2004 わたしの物語(ギャラリーヒルゲート/京都)
2003 It’s what I saw.(天野画廊/大阪)
2002 It’s what I saw.(天野画廊/大阪)
2001 It’s what I saw.(天野画廊/大阪)
2000 It’s what I saw.(天野画廊/大阪)
2000 It’s what I saw.(Wall/ SAIギャラリー/大阪)
1999 It’s what I saw.(天野画廊/大阪)
1998 It’s what I saw.(信濃橋画廊/大阪)
1997 It’s what I saw.(信濃橋画廊エプロン/大阪)
1996 It’s what I saw.(信濃橋画廊エプロン/大阪)
1995 個展(信濃橋画廊エプロン/大阪)
1994 緑のバイエル(信濃橋画廊エプロン/大阪)
1992 1992年トキエは25才になる。(ギャラリーパライソ/大阪)

主なグループ展
2008 アーティステックなくらしPART7(ギャラリーTAA/大阪)
2008 KANTAN歩(FU)2008現代美術―平面・立体―展(海岸通ギャラリー/大阪)
2007 アーティステックなくらしPART6(ギャラリーTAA/大阪)
2007 KANTAN歩(FU)2007現代美術―平面・立体―展(三江ギャラリー/神戸)
2007 アーティステックなくらしPART5(ギャラリーTAA/大阪)
2007 グループ展(ギャラリーあーるてんぴい/大阪)
2006 サムホール展(ギャラリーあーるてんぴい/大阪)
2006 Tシャツ展(ギャラリーあーるてんぴい/大阪)
2005 谷川夏織と二人展・匂いのいい庭(ギャラリーあーるてんぴい/大阪)
2003 春成こみちと二人展・At this time Komichi and Tokie meets in this place.(ギャラリーあーるてんぴい/大阪)
2003 平田尚加と二人展・滴のような滴としての作品たちと…(楓ギャラリー/大阪)
2000 グループ展・Thing matter time(信濃橋画廊/大阪)
2000 グループ展・個のしごと(信濃橋画廊/大阪)
1998 グループ展・芸術アワー現代美術☆ババババーン(信濃橋画廊/大阪)
1997 グループ展・主張するオブシェ展(信濃橋画廊/大阪)
1997 グループ展・ioz活性化への指標(天野画廊/大阪)
1996 グループ展・ioz活性化への指標(天野画廊/大阪)
1995 グループ展・ioz活性化への指標(天野画廊/大阪)
1990 二人展・ユメミルチカラ(ギャラリーTAKA/京都)
1989 二人展・Q展(ギャラリーすずき/京都)

イベント・プロジェクト参加
2008 アート展示/中村美亜著『クィア・セクソロジー:性の思いこみを解きほぐす』出版記念・トーク、アート&パーティー・今年のコリは今年のうちに!“性の思いこみを解きほぐす”大パーティー(東京芸術大学大浦食堂)
2003 台所インスタレーション/第2回ウイメンズパフォーマンスアート大阪(都住創センター/大阪)
2003 パフォーマンス/women’s-performance-art-osakaフリンジ企画・ももの未来形!?(C.A.P.HOUSE/神戸)
2002 プレゼンテーション/韓日交流・AN ART ACTION “WEMEN MEET WEMEN”(サムジースペース/ソウル、韓国)

プロデュース
2008 読書会・ジュデイ・シカゴ著『花もつ女』/うぱこたつ(ギャラリーゆう/大阪)
2004 ワークショップ・プチクロッキー大会/cafe WPAO3(城北市民学習センター/大阪)

作品提供
2008 中村美亜著『クィア・セクソロジー:性の思いこみを解きほぐす』(インパクト出版会刊)挿画、表紙作品写真

受賞歴
2003 ターナーアクリルアウォード入選

鑑賞ポイント■懐かしさを感じませんか?
どの作品も実在する物体をモデルにつくられていません。しかし、色や形の奇抜さよりも、懐かしさを感じませんか?どうして懐かしく感じるのでしょうか?スーパーの野菜売り場で見かけても違和感がなさそうな表面だから?内側のくぼみが、自宅の小物入れと同じぐらいの大きさだから?それとも、あなたの身体のどこかにいつも存在している「何か」に、形や色があるとしたら、こんな感じだから?(homishi)

■もっと作品をみたい方は↓
http://www.postmodernclinic.com/tokie/

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