2011.11.25 Fri
今回、あるグループに同報メールを送ったら、一人の人へのメールが跳ね返されてしまいました。ポリシー上の理由で、IPアドレスが拒否された、とのこと。「え? 何? なんで?」とびっくりしました。でも、私のパソコンのIPアドレスは固定されているわけではないので、私が何かをしでかして拒否されている、ということではなさそうです。でも、私のIPアドレスに近いところで起こったことなのかもしれません。それで、今回は、IPアドレスについて、書くことにしました。と言いましても、まだあまりよくわかっているとは言い難いのですが、専門家の人は、とにかく、専門用語を駆使して説明されるので、ど素人にもわかる言葉への翻訳を試みることにしました。
専門家が専門用語を使って説明されるので、結局よくわからなかった、ということは昔からありますよね。ワープロを使っている頃は、マニュアルを精読していたのですが、PCになってからマニュアルを読まなくなったのは、読んでもわからない、ということが理由だったように思います。私の友人のシステムエンジニアだった人は、退職して、新たに「わかる、ということ」をテーマに研究生活に入ったのですが、その最初の動機が、「パソコンのマニュアルを、素人でもわかるものにしたい」ということでした。見上げた動機でしょ? 偉いなーと思いました。その友人は、と~っても難しいことを知っているはずなんですが、今も、そんな難しいことは言いません。相変わらず生きる姿勢のいい人だと思います。
パソコンについては、いくら説明されてもちんぷんかんぷん、よくわからないけど、ちゃんと使えさえすれば、、、なんてことになりがちですよね。私たちは、理解することを半ばあきらめています。これは、何も、専門家の方が意地悪なのではなく、どの言葉が素人にはわからないのかが専門家にはわからないためだと思われます。中には、専門用語を駆使して、素人を煙に巻くのが好きな人もいるかもしれませんが(このタイプは、どの業界にもいます)、多くは、知識・情報が地層のように重なり合って構築されてきた世界ですので、どこまで戻って説明すれば素人に理解ができるのかが見当もつかない、あるいはそれを考えるだけでその大変さに気が遠くなるような気分になるのだろうと想像します。だから、素人の方も、わかりたければ少しくらいは構造を理解する努力もしなくちゃと思います。そう思って、たまにPCの本を開くパソ子ですが、あまりにも頻出する知らない単語群に、めまいがします。
でも、今回、IPアドレス事件が私の身にもふりかかってきたので、これを機会にIPアドレスについて、一応自分の理解したことを書いておこうと思います。
IPアドレスは、Internet Protocol Address のことです。私たちには見えないけれども、インターネットに接続する時は、インターネットに接続するPCが特定される必要があるので、識別番号が割り振られています。IPアドレスとは、インターネット上の住所といえばいいでしょうか。住所がなければ郵便物が配達できないように、IPアドレスがなかったら、インターネットでいろいろなサイトを見たりすることはできません。私たちは、たとえばWANのサイトにアクセスしたいという信号を送ることも、WANのサイトから信号を送り返してもらうこともできません。
でも、自分は自分のPCにそんな識別番号があるのは知らないけれどインターネットを使えている、という人もおられるでしょう。このIPアドレスは、自動的に割り当てられていて、通常は、私たちは意識することもないのです。では、誰が割り当てるの? という疑問がわいてきます。IPアドレスというのは、NICという世界的な非営利機関が管理していて、日本にはその下部組織JPNICという機関があるそうです。私は、プロバイダに契約して自宅でパソコンを使っていますが、プロバイダがJPNICからIPアドレスの割り当てを受けていて、私のパソコンには、そのプロバイダが保持しているIPアドレスの一つが付与されているのです。
IPアドレスは自分のパソコンだけに割り当てられる、世界に二つとないものです。同じ住所が二つあったりすると郵便の配達に困るでしょうが、IPアドレスが重複することも、同様の混乱が起こりそうです。だから、世界にたった一つのIPアドレスが割り当てられるようになっています。もっと正確に言いますと、私の場合(多分、多くの個人がそうでしょう)、IPアドレスはPCに直接割り当てられているわけではありません。家にはブロードバンドルータを設置していてそれを通してインターネットに接続していますので、プロバイダが付与するIPアドレスはルータに割り当てられています。ルータは、外部のインターネットと内部のパソコンとの境界に位置し、外部のインターネット世界と情報のやり取りをする外側に開いた部分と、内部のパソコンと情報のやり取りをする内側の二つの顔を持っています。外側にある広い世界をwide area network (WAN ^^;)、オフィスの中やビル内、あるいは個人の家の中のような狭い範囲で情報機器をつないでいるネットワークのことを local area network (LAN)と呼び、ルータは、WAN側にグローバルIPアドレスを割り当てられ、それで外の世界のネットワークと情報のやり取りをします。そして、LAN側ではアドレスを変換して、個々のPCにプライベートIPアドレスを割り当て、それぞれのPCがインターネットを使えるようにしています。プライベートIPアドレスは、WANの世界とは関係がないので、LANの中で重複しなければアドレスは自由なのですが、でも、一定の法則のもとに割り振られているようです。電話に例えれば、グローバルアドレスは外線、プライベートアドレスは内線、という感じでしょうか。
ちなみに私が使っているデスクトップパソコンのIPアドレスは、192.168.24.52 となっていました。IPアドレスを確認するには、スタートメニュー→アクセサリ→コマンドプロンプトを開き、「ipconfig」と入力してリターンキーを押しますと、表示されます。このとき、一緒に、サブネットマスクと、デフォルトゲートウエイの三つが表示されます。この説明は次の機会にしますね。
ルータのおかげで、私は、家の中で現在、デスクトップパソコンとノートパソコン2台(1台はちょっと古くなってきました)を使うことができています。ルータに一つのグローバルIPアドレスが割り当てられただけで、計3台のパソコンでそれぞれインターネットに接続することができます。これがないと、それぞれのパソコンに、直接、グローバルIPアドレスを付与される必要が生じてきます。実は、このIPアドレスは、すでに足りなくなっているそうです。現在まだ使われているIPアドレスは、IPv4(アイピーブイフォーと読みます)と言われる方式で、約43億個あるのですが、当初想定されたよりもはるかに多くのIPアドレスが使われるようになり足りなくなってしまったのです。それは、そうでしょうね、私も私のまわりでも、多くの人がIPアドレスを取得してインターネットに接続しているのですから。それに、プレステなどのゲーム機器もアドレスを取得してインターネットにつなぐもののようですから。なにしろ重複してはいけないのですから、ユーザーが増えればどんどん数が減っていくのは、まぁ、素人にもわかる理屈ではあります。43億だと、世界の人口が70億ですから、一人で何台もパソコンやプレステや、と使う時代、足りないのも当然のような気がします。ですから、プライベートIPアドレスを用いることによって、グローバルアドレスが節約できますから、とりあえず、IPアドレス枯渇問題を一時的に回避する方法としても必要とされてきたようです。
でも、もっと桁数の多いIPアドレスの方式はすでにあって、そちらに切り替えないといけないということが言われています。この後継の方式はIPv6(アイピーブイシックスと読みます)と言いまして、2の128乗個あるので、ほぼ無限と考えてよいそうです。なにしろ、2の128乗というのは約340澗(澗なんて単位、知ってました?)、つまり340兆の1兆倍の1兆倍なんだそうです。で、最近はもうIPv4は枯渇しちゃっているので、IPv6にしないといけないのだそうでして、windows7では、すでに標準でこのアドレスが使用されているとのこと。で、windows7が搭載されているノートパソコンを確認しますと、IPv6アドレスがすでに割り当てられていました。IPv6は、16進数で表示されています。今後はいつまでもIPv4のアドレスを使っていると、読めないサイトなどが出てくるのでしょうか。
もう一つ、IPアドレスについては、特徴があります。実はIPアドレスは、通常固定されていないものでして、インターネットに接続するときに、その都度割り当てられます。常時接続でつなぎっぱなしだと、同じIPアドレスのままですが、一旦接続をやめて、次につなぐ時には変わっているものなのです。つまり、プロバイダが、接続しにきた契約者に空いているアドレスを貸し出して、切断するとアドレスは回収され、また別の契約者に貸し出されるという仕組みです。もちろん、WEBサーバーとして公開しているような場合は、固定したIPアドレスが必要になるので、特別なお金を払って固定アドレスを確保されているのだろうと思います。
アドレスがIPv6に変わったら、プライベートアドレスという考え方はなくなるのでしょうね。セキュリティを考えたらあった方がよいのかもしれませんが、なにしろ、膨大な数のアドレスが用意されているわけですから、一つ一つのパソコンにグローバルアドレスが付与されても、枯渇の心配はないわけですから、これまでのIPアドレス枯渇問題を回避されるために工夫されてきた方式はいっぺんに要らなくなるということですね。ちょっとお勉強して覚えたことが要らなくなるのかも、と思うと少しがっかりです。IPv6には、新たなアドレスの区分があるようでして、これを理解するのにまた一苦労しそうです。IPv4の方もなかなか難しくて、うんうん言いながら「このアドレスから導き出される端末の数は何台か?」なんて計算問題を解いたりしていたこともあったのですが、消化不良のまま、また次の難関に向かうことになります。まぁ、そんな偉そうなことを言っていますが、ずっと怠けていたので、ちょっとはちゃんとお勉強しなさい、という戒めだと思うことにします。
このお話は次回に続けます。次回はもう少し、理解が進んでいるといいのですけれど。
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