エッセイ

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asukaの育児休業日記(12) 立ち止まって考える

2012.03.10 Sat

 四月の仕事復帰に向け、引越しだ~、送別会だ~、保育園準備だ~、と毎日バタバタ忙しい。
 でも心がけているのは時々「立ち止まって考える」こと。

立ち止まらないなんて・・・もったいない!

 これまでの人生、どちらかといえば一本道を歩んできた。学生を終えてすぐ就職。留学、転職、世界を放浪・・・なんてこともなく。価値観の似た狭いフィールドの中で、目の前の事だけに懸命に取り組み、それで満足だった。

  まっすぐ前しか見えていなかったから、とにかく前へ前へ。忙しく突き進むことをよしとしていた。だから長女の育休中は早く仕事に戻りたかったし、育休も早々に切り上げた。

 でも「立ち止まらない」って、なーんてもったいなかったんでしょう!

  時間軸・空間軸上の「現在」という場所にポツンと置かれた一点でしかなかった私の領域が、育休中に「立ち止まって考える」ことで過去にも未来にも横にも大きな円として広がりました。

過去を顧みる

 今回の育休では、様々なことを感じ、学んだ。思い通りにいかないことを受け入れ、語学を通じてコミュニケーション能力を高め、「自分の気持ちを伝え相手の気持ちを聞く」ことの重要性や認めること&認められることの効用を理解し、「ごめんなさい」「ありがとう」という言葉の持つ力を再認識し・・・。

 素敵な出会いもたくさんありました。これまで接点のなかった別の世界には、こんなに面白く、魅力的で、考え方の違う人たちがいたなんて!

 このように思い返せるのは、実はWANでの執筆のおかげ。日々ピンときたことも、これまでは「ま、いっか」とうっちゃってきた。しかし「立ち止まって顧みる」ことで、その小さな気付きが自分の個性として根を張ってきている。

 先日、保育園激戦区で娘たちの入園をゲットしました。最初に届いたのは「二人とも入所不可」という無慈悲な通知。しかし理由を確認したところ、役所側の書類確認ミスがわかり、なんとかねじ込むことができました。

 育休前なら「役所の決定に何を言っても無駄」と諦めていたでしょう。でも「他人の考えていることは聞かなければわからない」という精神で臨み、かつ相手の立場を考慮し「ありがとう」を多用してみる・・・育休を通じて私の中に根付いた強さ(図太さ?)が、助けてくれました。

現状を見直す

 自分の知らなかった自分も発見できた。

 「A大学の」「B社の」といった肩書きを一旦はずし、「個の自分」として行動してみると、みんなからの評価は実にストレート。時にくすぐったくなるほど甘く、時に辛辣、時に大きく心を揺さぶるものだった。これらの評価やシンプルな自分の気持ちを通して、本当に好きなこと、得意なこと、欠点などが見えてきた。

  同時に発見したのが、いかに自分は精神的に未熟だったかということ。仕事や環境など、「与えられる」ことに慣れきっていました。しかし、親になり、ボランティア活動やサークル役員等をすることで「与える」側を経験し、自分を中心に「なんとか頑張る」ことから、周囲を含めベストとなるやり方を俯瞰して模索するように。いわば地動説から天動説へのコペルニクス的転換。視野が広がりました。

未来を問いかける

 そして立ち止まって、現在の感情と距離を置き、未来について自分に問いかけている。
 「本当にこれが大事?」「今やらなければならないことは何?」「今後どうしていきたいの?」

 このような問いかけの連続で、一時の感情にとらわれずに、よりよい選択をしていくことができると信じています。

子どもと向き合うチャンス

 立ち止まり、子どもとゆっくり向き合えたからわかったこともある。

 文字通り「毎日」、子どもは成長していくということ。顔つきも、できることも、言葉も、気持ちも、複雑に変わっていく。だから、相対する親も毎日少しずつ対応を変えていかなければならない。

  長女を育てながら仕事をしていたときは、仕事と育児をうまく両立しているつもりでした。でも思い返してみると、当時の子どもの成長過程はあまり記憶にありません。「現在の一点をなんとかこなせばいい」という考え方で、食事、風呂、寝かしつけ・・・遊びでさえも形だけで、子ども自身をきちんと見ていませんでした。

 忙しかったからというのは言い訳になりません。時間の長短ではなく、意識の問題ですよね。

育休の意義

 育休って単なる停滞期だと思っていました。

 「私だけが仕事を休まなきゃいけないなんて不公平だ!」と夫に喧嘩をふっかけたことだって何度もあります。

 でも私にとっては、非常に密度の濃い、自分の成熟度を高める大事な期間でした。

  立ち止まる機会がなければ、今も「現在の自分」しか見えずに突き進んでいたことでしょう。

 育休のように立ち止まって考える時期は、男女問わず誰もが人生の中で持つべきです。

立ち止まる、考える

 四月から夫は単身赴任、私が仕事をしながら二人の娘を育てます。ものすごく忙しくなるでしょう。

 でも時々「立ち止まって考え」ます。せっかく広がった自分の領域をまた縮めないように。

 そして育児休業は決してマイナスではなく、むしろプラスの効果を持つということを証明するためにも!

宇宙マメ知識

 今回は、これまでに周りから聞かれた宇宙に関するソボクな疑問にお答えします。

 主観的な答えもありますがご容赦ください!

Q:ほんとに宇宙って無限なの?

A:3次元の「空間」としては無限大。でも「時間」という次元で考えると有限です。それは137億年前に宇宙の始まりがあったことからも分かります。詳しくはこちらのページで。http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/edge_of_the_universe.html

Q:宇宙飛行士と呼ぶ人は、日本に何人いるの?

これまで大活躍してきた現役&元宇宙飛行士 JAXA

A:現役宇宙飛行士は向井千秋さん、若田光一さん、野口聡一さん、星出彰彦さん、古川聡さん、油井亀美也さん、大西卓哉さん、金井宣茂さんの計8人です。皆さん、笑顔が素敵☆

これからの活躍を期待 フレッシュな宇宙飛行士 JAXA

元宇宙飛行士が、毛利衛さん、土井隆雄さん、山崎直子さんです。

打ち上げ前の記者会見 ガラスで仕切られているのが、わかりますか? JAXA/NASA/Carla Cioffi

Q:宇宙飛行士は、宇宙から帰ってきた後しばらく隔離されて秘密訓練してるって聞いたことがあるんだけど?

リハビリ中の古川飛行士 これも大切な仕事です JAXA/NASA

A:隔離されるのは打上げ「前」。宇宙で病気にならないように、菌の感染を避けることが目的です。

 宇宙から帰った後は筋肉や骨が衰えているため、45日間程リハビリを行います。マッサージ、ストレッチ、歩行訓練、ランニング・・・と徐々に負荷を上げていき、普通の生活に戻れるようにします。秘密じゃないですよ。

Q:本当にアポロは月に行ったの?実は地上のスタジオで撮影したんでしょ?

A:これ、よく聞かれます。「宇宙人っているの?」という質問と同じくらいかなあ。

 JAXAの月周回衛星「かぐや」がアポロ15号のエンジン噴射跡を確認しました。アポロ15号の飛行士が撮った風景写真と、かぐやの得たデータから作成した地形がほぼ同じだった事からも、アポロは月へ行っています!

 宇宙人もいると私は信じています。押し付けることはできませんが、そう考えたほうが楽しくないですか?

Q:「わたしも宇宙から地球が見たい!」こんな普通の人でもいつか宇宙にいけるのかしら。

A:今や宇宙旅行がビジネスとなる時代。既に7人の民間人が国際宇宙ステーションに滞在しました。とはいえ、その費用は数十億円! 弾道飛行で宇宙から地球を見るだけなら数千万円・・・まだまだ高いっ。

 しかし海外旅行が手頃になったのもここ数十年のこと。現在、安全性が高くてコストの安い宇宙船が世界中で開発されています。

 「普通の人でも宇宙に行けるいつか」はもうすぐやってくるはず。そしてそんな世界をつくることこそ私の夢です。

 第1回で書いた通り、私は「宇宙」という言葉にどきどきし続けています。そのどきどきは未知への興味からくるもの。

 でも未知だからこそ怪しい情報が巷にあふれているし、よくわからないから興味が持てない人もいる。

 「仕事は宇宙関連」と話すと、微妙な顔で「へ、へぇ~」と二、三歩後ずさる人がほとんど。宇宙業界はどうやら、最先端で難解、眼鏡をキラリンと光らせた研究者が数学の公式で話しているイメージみたい。で、しばらく経つと「・・・こんなにドジで普通の人も関わってるんだ」と宇宙全体を身近に感じていただけるようです(!?)。

  優れた技術を駆使する仕事もあるけれど、泥臭い仕事をコツコツとこなす方が多い。海外での打上げ支援に行っても、実験室の掃除から必要だったり、メールが使えず担当者を探し回ったり、エアコンのダクトを直したり。

 初めて人類が宇宙に行ってからまだ半世紀。歴史的に考えたらまだまだ若い産業で、子育てのように試行錯誤の連続です。

  「宇宙」という単語が聞こえても「うわっ、ムズカシソウ・・・」なんて後ずさらないで。「小さいのに頑張ってるわねぇ」と姪っ子や甥っ子のように身近な存在として可愛がり、成長をわくわくしながら見守っていただけたら幸いです。

 仕事復帰を期に、本連載は今回で終了となります。読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!

カテゴリー:asukaの育児休業日記

タグ:子育て・教育 / 働く女性 / 育児休業