2012.03.25 Sun
前回が無線ランの話題でしたので、電波つながりで、電話機について、ちょっと勉強したことや、思い出話やらを書きます。
使い始めたいきさつをはっきりとは覚えていないのですが、1996年頃からPHSを使っていました。PHSとはPersonal Handyphone Systemの略です。いわゆるピッチです。今では携帯電話が主流で、ピッチはすっかり少数派になりましたが、私は長い間、ピッチ派でした。「ダサイ」などと言われた頃もあったようですが(今も?)、私の友人には結構愛好者が多いのです。そして、こういう人は、たいてい歴史が長い。
今、私は、PHSも携帯も使っています。どちらかをやめればよいのに、と自分でも思うのですが、長年使ったPHSへの愛着は強く(もちろん、本体はずいぶん替えて来たのですが、番号は長年同じです)、でも携帯はいろいろ便利な機能がついて、一度慣れると手放せません。
おサイフケータイなんかはもう、ものぐさな私には必需品。これは、PHSにはついていない機能なんですよね。近所のコンビニに行くときは、携帯だけを持って行きます。自販機のドリンクを買う時も、おサイフケータイが使えないと、「不便!」と思ってしまいます。おサイフケータイが可能なサイトでついネットショッピングまでしちゃうのです。買いに行くのも面倒だし、クレジットカードを登録したくないし、という時に、おサイフケータイで支払いを済ませてしまいます。おサイフケータイは、たいてい同じシステムだと思いますが、予め現金をチャージしておいて、買い物をするとそこから引き落とされるシステムです。クレジットカードより安心して使えるのは、たいてい上限2万円くらいをチャージするので、何かがあっても被害は最大2万円どまり、というところでしょうか。でもまぁ、そういうときの買い物って、ほとんど必需品ではなく、どう見ても不要品ですよねぇ。貧乏を吹聴している割には無駄なことが多い暮らしです。
PHSでは、いろいろ忘れられないエピソードがあります。中でも印象深い出来事は、位置検索システム「いまどこ」の活躍でした。2004年に亡くなった父は歩くのが好きで、どこにでも一人で歩いて出かけて行くのですが、年をとるにつれてだんだん帰って来れなくなり、晩年には音声通話用ではない「いまどこ」専用の端末をお守りのように付けてもらいました。これは、ほんとうに優れものでした。
一番の活躍は、父が、京都伏見の実家から百万遍あたりまで、徒歩で行ってしまった時でした。母からの「朝、散歩に出かけたお父さんが、まだ帰って来ない」というヘルプ電話から始まりました。いつもの散歩コースだと、8時頃には帰って来て、母と一緒に朝食を食べるのですが、その日は、昼になっても帰らなかったのです。私はすぐに「いまどこ」で父の居場所を探しましたら、実家からは北西方向にかなり離れたところにいることがわかり、母に伝えましたが、母のパニックぶりに心配になって私も京都に駆けつけました。そして、あとは、自宅にいた友人に頼んで、「いまどこ」の使い方を伝え、パソコンで追跡してもらいました。母がすでに私が指定した場所に向かってタクシーに乗っていましたので、私もその後を別のタクシーで追いかけて、やっと母に合流して同じタクシーに乗り込み、友人と連絡を取り合いました。友人の誘導で、伏見から九条、七条、五条、四条とどんどん北上します。「あ、今度は、百万遍のあたり」と教えてくれました。結構、西の方にいた筈なのに、いつの間にか東の方へ。タクシーの運転手さんは、「これはもう、歩いてないですね。タクシーに乗ってますわ」とその移動のスピードからおっしゃっていましたが、後から聞くと、徒歩で移動していたそうです。いやはや驚きました。父が急ぎ足で歩いているところを、母がタクシーから見つけたのですが、母が車を降りて「お父さん」と呼ぶと、本人は「あれ? どうしたの?」というふうに意外そうな顔をしていましたから、まだ道に迷っている自覚はなかったのでしょう。足の向くままに歩けば帰れると思っていたようです。若い頃、伏見ではなく京都の旧市内に住んでいたので、ひょっとしたら、そのあたりに自分の住まいがあると勘違いしていたのかもしれません。最晩年には、その端末を身につけないまま出かけてしまい、とうとう捜索願を出して警察に保護されたことがありましたが、その時も端末さえ持っていてくれていたら何とか探せるのに、と思いました。尤も、見つかったのは亀岡の山奥でしたので、田舎には基地局がないPHSでは、同じ事だったでしょうが、せめて、ルートだけでもつかめたかも、と思います。
昔のPHSは、アンテナを立てて使いました。相手の声が聞こえにくくなると、ちょっとでもよく電波を受信するように一生懸命アンテナを伸ばしたりしていました。カバーするエリアが狭く基地局の切り替えの場所などで途切れたりしたようです。PHSは、固定電話の子機を外に持ち出した物、という発想で、子機を発展させたシステムであるために、利用する電波の出力が小さく、一つの基地局がカバーする範囲は、数十メートル~数百メートルなのだそうです。そのため、密に基地局(つまりアンテナのことですね)を設置しないといけないのですが、小さくて安価で、駅ホームの売店の屋根とかに簡単に設置できるので、以前は、街中の通話では、携帯に比べて圧勝でした。
一方、電波の出力が大きな携帯電話は、アンテナのカバーする範囲が遙かに大きく、PHSとは音をデジタル化して伝える方式「音声符号化方式」も異なるのだそうです。この点でも、PHSの方が優っていて、元の音をほとんどそのまま伝えることができていて、とても音質がよいのです。ずっと、PHSの音質が良いのだとは知らず、初期の頃はPHS仲間とばかり話していたので気づかなかったのですが、周りの人が携帯を使い始めた頃、音が悪いのにびっくりしました。まるで水中でぶくぶくしながらしゃべっているようで、「今、何をしているの? どこにいるの?」とよく尋ねました。初めから携帯電話を使っている人はそんなものだと思っているようで、向こうは私が何を言っているのか不思議だったようでした。自分でも携帯を使い始め、両方を使うようになってから、その差は歴然としていましたので、音声は絶対PHSが勝ちだと長い間思っていましたが、最近、機種変更したPHSはその美点が失われたようで、ちょっとがっかりです。
父を捜索した時に大活躍した位置情報検索は、複数の基地局からの電波をもとに端末の位置を測定して、その位置をインターネット経由で知らせてくれるものです。先程も言いましたように、PHSの基地局の電波出力は小さく、密に基地局が設置されます。それゆえ、位置情報の精度は高いと言われていました。確かに、あてもなく歩いている父を発見できた時は、ほんとうに有り難い物だと思いました。
(次回に続けます。)
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