アートの窓

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工藤 明美(アーティスト)〜アートの楽しみ、自己表現の喜びを、たくさんの人に知ってもらいたい〜

2009.07.06 Mon


写真左から:《無口の中から》2004年、《パッケージされた人》(部分)2007年、《パッケージされた人》2007年

※メッセージ、プロフィールは『続きを読む』をクリック!してください。私のアートの基本は、高校時代にあります。
勉強しても勉強しても追いついていけない、何故自分を否定するのか、
初めて自分の中にある差別にそして社会の仕組みに気付いたのでした。
その疑問は、教育系の美術科に入ってからも、続いていました。
アカデミックな美術の授業は、上手い下手が問われるものだったのです。

ある日、小磯良平の作品を皆で見に行って、私の疑問は更に深まったのです。
それからしばらくして、ベンシャーンの画集を帰りの電車の中で見ました。
私は人の目も気にせず、さめざめと泣きました。
同じ歌う人がこれほどの差があるのか、公園で歌う労働者風の男2人は楽しそうで、
じんわり喜びを感じるものでした。

アートはすごい!とその時思ったのです。
アートは人を救うんじゃないかと思ったのでした。
私はそれから何十年も作品を作ることになったのです。
私が今 この社会で感じることを!

2005年朝倉文夫館から依頼され(こんな名誉なことはそう無いことです)
私は日頃思っている黙々と働き、日常をしっかり生きている人たちを表現しようと思い、
『無口の中から』という展覧会をしました。
ほとんど人と話す機会が無く3ヶ月を費やしました。
作品が社会と繋がっていると思いながら、孤独な日々。
何所で社会と繋がればいいのか、何度も自答しました。

それで、『アートは人を救う』を自分の作品だけではなく、
アートの楽しみ、自己表現の喜びを、たくさんの人に知ってもらいたいと思い,仲間とNPOを立ち上げました。

依頼されるものは、キャンドル作り、草木染、ワイヤーでクリスマスツリーなどの物作り、
それはそれで面白いのですが、人の心の真髄に響かない、私が思っていたものとどこか違う・・・と悩む日々です。

この間、私がやった(町発見 地域の人と町を歩いて写真を撮ってきて発表する)は、抽象的過ぎたのでしょうか、子ども達の参加が無く [地域のあらゆる人の様々な思いを知る]ということは叶わなかったのです。でも、地域のお年寄り達がたくさん来て下さり、あんなところがあったのかとか、戦争の体験を聞いたり、お家をお伺いしたり、なんかホノボノとしていて良かったという意見があり、これで良かった!と思おうとしています。

思いがいっぱいでも、思うようにいかない事の方が多く,挫折することの方が多いのですが、
『アートは私と人を救う』と思い続けています。ー無理やりかなぁ

工藤 明美
くどう あけみ

■プロフィール
1978年 奈良教育大学中学校課程美術科卒業
人形劇・子ども会活動をする
1993年 大分県立芸術文化短期大学美術専攻科彫刻卒業
現在、大分在住

活動歴
1994年 県美展豊後高田市長賞
1996年 二紀展入選
2000年 大分アジア彫刻展奨励賞
2001年 立体3人展
2002・2003年 書道・立体コラボレーション
2003年 全国緑化フェアー温室アーティスト部門担当
2003年 建築とのコラボレーション
2004年 朝倉文夫記念ホール『無口の中から』工藤明美立体展
2001年 小学校でのアースワーク ワークショップ
2005・2006年 感性教育学会 ワークショップ
2005?2007年 工藤明美・工藤良美二人展
1996?2000年 大分二紀展
2001年?2005年 リブの会展
2006年縲怐uNPO法人アートハウスおおいた」設立に参加、ワークショップ多数
2007年? おおいた彫刻家集団∞の会

ちょこっとメモ1■
NPOとは、1998年に施行された特定非営利活動促進法に基づく法人格を持つ団体のこと。現在では、地域活動やまちづくり、スポーツ振興、子育て、人権など、さまざまな目的を持ったNPOが2009年4月現在、37000団体余り認証されています。その中でも特にアーティストが参加したり、芸術活動を積極的に行うNPOを、アートNPOと呼び、全国フォーラムや研究会等のネットワークもあります。

ちょこっとメモ2■
“趣味の手づくり(キャンドルづくりや、手芸、ビーズなど)”と“アート”の違いはなんだろう?それぞれの“喜び”が、どう違っているのだろう。誤解を恐れずにいうならば、“趣味の手づくり”には『お手本』があり、“アート”には『お手本』がない。『お手本』通りにできたことで評価される“喜び”もある。“アート”の場合は「工夫したこと」、「自分らしくできたこと」、つまり「その時、その場で、その人しかできないことを発見し、考察し、形や色に置き換えたこと」を評価の軸とし“喜び”とする。だから、もし手芸や、キャンドルづくりでも「その時、その場で、その人しか‥‥」であれば“アート”だなあと思う。日頃“アート”となじみの少ない人たちと“アート”を楽しむ時、導入に“趣味のてづくり”的なことをすることも少なくない。しかし、なじみのある“趣味の手づくり”だけに、人々の「『お手本通り』につくりたい」気持ちの方向転換をすることはけっこう難しい。ちなみに、工藤さんや私は、立派に見える油絵であっても『お手本通り』を目指しているのなら“アート”ではないと考えている。(構成:ほみし)

カテゴリー:ギャラリー / 工藤 明美(アーティスト)

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