2013.03.18 Mon
【打越さく良の離婚ガイド】NO.2-10(19) 離婚届の変更点 19
離婚届が変わったそうですが何が変わったのですか? 手続きの仕方にも何か変更がありますか?
◎ 条文上に養育費と面会交流が明記
2011年の民法の一部改正(2012年4月施行)で、協議離婚の際に父母が協議で定めるべき事項として、養育費の分担と面会交流が挙げられました(民法766条1項)。未成年の子どもがいる父母が離婚する場合には、養育費と面会交流をどう取り決めるかは大切なこと。これらの取決めの大切さを踏まえて、改正法に明記されたものといえるでしょう。
民法766条1項は、養育費や面会交流の取決めにあたり、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」としています。これまた、当然のことですね。でも、不幸なことに離婚までの間に様々な葛藤を抱えた父母の中には、互いに強く反発し、子どもを中心に考えられなくなってしまう方たちもあります。
そういう父母たちに対し、この条文は、あらためて、自分の葛藤から冷静になって、子どものことを第一に考えて、子どもの今後の成長発達に大切なことを取り決めましょうね、というメッセージを発しているといえるでしょう。
◎ 離婚届の書式変更
2012年4月から、離婚届に、養育費と面会交流の取決めの有無のチェック欄が設けられました。 取決めがなされていなくても、離婚届が受理されない扱いではありません。
ですから、父母が署名押印し、成人の2人の証人が署名押印すれば、受理されるという扱いは同じです。 しかし、欄が設けられることによって、離婚する父母が養育費や面会交流につき「取決めをしておこう」と思うかもしれません。周知されることで、取決めをしておく割合が増えることが期待されます。
◎ 窓口での試み
市区町村の役場の担当部署では、離婚届の用紙をとりにきた人たちに、養育費や面会交流の欄が新設されたことを説明する扱いをしたり、未記入で届出しようとする人たちに、「チェックを」と声をかけたりするところもあるそうです。
それでも、未記入のまま提出するということであれば、受理される扱いにはなりますが、このような声かけによっても、子どもたちの利益につながるような取決めが促進されるといいですね。
◎ さらに実効的にするために
もっとも、せっかく取決めしても、口約束やメール等で済ませてしまったら、いざ約束を守ってもらえなくなったときに、それをもとに強制執行はできません。この連載で何度も紹介していますが、万が一のときのために、公正証書にしておきましょう。
公正証書にするのを渋られたら、約束を守る気があるのかどうか、怪しいと用心したほうがいいでしょう。その場合には、あわてて離婚することなく、調停を申し立てて、裁判所で話し合い、きちんと調停調書にして解決することをお勧めします。
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カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド
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