エッセイ

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8月は、日本軍「慰安婦」問題=軍事性奴隷制度を考える月に ⑥ 岡野八代

2013.08.16 Fri

メモリアルデー 28月11日、東京ウィメンズ・プラザにて、8月14日を、日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを国連記念日に「戦時性暴力の被害者から変革の主体へ」と題された国際シンポジウムが開催されました。

なお、日本軍「慰安婦」問題について基礎的なことから学びたい方は、こちらのサイトをご覧ください。

今回は、午前中、フィリピンから来られたエステリーダ・デイさんの証言を中心に報告します(次回⑦では、午後の部を紹介します)

本シンポジウムは、韓国の元「慰安婦」にさせられた金学順(キム・ハクスン)さんが、日本軍性奴隷制度について世界で初めて長い沈黙を破った8月14日を、国連記念日にするための連帯のためのシンポジウムでした。

元「慰安婦」にされたフィリピン人女性の証言ほか、元国連安全保障理事会の議長を務めたアンワウル・チャウドリーさんの講演、そして、長きにわたり韓国の元「慰安婦」にされたハルモニたちを支援してきた、尹美香(ユン・ミヒャン)さんの「日本軍「慰安婦」被害者が変革の主体となるとき」という講演、そして岡真理さんによる記憶の普遍化をめぐる議論など、とても重いシンポジウムでした。その一方で、閉塞した日本社会を少しでも開放できる切り口を示すような、わたしたちに希望を与えてくれたシンポジウムでもありました。

開会の挨拶に立たれた、梁澄子さん

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 梁さんからは、1991年8月14日、金学順さんの勇気ある証言以降、22年間の長く、重い歩みが紹介されました。被害者女性たちは、被害に関する証言をするなかで、自らの被害の意味、自分自身が価値ある存在であること、そして活動家の一人となっていくこと、翻って彼女たちを支える運動のあり方も被害者の証言を聞く中で変化してきたことを語り、本シンポジウムの意味を説明されました。

ずっと宋神道さんの訴えに耳を傾けられてきた梁さんの経験に裏づけられた、開会の挨拶だったのだと思います。

わたしがこれまで伺ってきた証言は、その多くが韓国の女性被害者たちのものでした。フィリピンでの被害状況をみると、日本軍は略奪するかのように女性たちを連行したことが分かります。また、フィリピンでは「アジア女性基金」の受取がすすみ、あたかも補償がなされたかのように喧伝されていますが、被害者女性たちは教科書記載をはじめ、今なお日本政府による正義の回復を求めていることがよく分かりました。

まず、フィリピンでのデモの様子のビデオが流されました。

来日が予定されていたのですが、体調が思わしくなく来日が適わなかったピラール・フィリアスさんはビデオ出演でした。

彼女はビデオを通じて、正義を返して、謝罪と補償をしてほしい、教科書でわたしたちのことを教えてほしいと訴えられました。

「これがわたしの物語」だと。

エステリータ・デイさんの証言

1942年12歳の頃、日本軍がやってきた。家族は、さとうきび園経営をしていた。

14歳になって市場で鳥や野菜を売っていたさい、日本軍がトラックでやってきた。そして、市場でゲリラ兵を殺し始めた。みな逃げ始めたが、自分は逃げ遅れ、トラックへ連行された。駐屯地にそのまま連れていかれ、ある部屋でレイプの連続。抵抗すると、壁に頭を打ち付けられて意識を失う。ほかのフィリピン人女性リンダに「日本兵には抵抗してはならない」と。

3日はリンダのおかげでレイプを免れた。だが、その後は、3週間のあいだずっとレイプされ続けた。

1993年ラジオで『慰安婦』として名乗り出るようニュースが流れ、最初は恥ずかしいと思ったけど尊厳を取戻すために名乗り出た。

デイさんは、 被害者の一人として政府に、謝罪、歴史教科書への記載、合法的な補償、この三つができて初めて被害者への正義が回復されるのだと訴えられました。戦争を二度と起こしてほしくない、と。

午前の部では最後に、ロラを支援する、リラ・フィリピーナの活動家、レチルダ・エクストレマドゥラさんの話がありました。

彼女の言葉で、わたしの心にとどめておきたいと思った一言は、 「記憶することで再び繰り返さないこと」という言葉です。長い支援活動を通じて、梁さんと同じように、レチルダさんもまた、ロラたちは、当初被害者、そしてサヴィヴァーとなり、その後活動家へと変遷しているのだと強調されました。ロラたちはいまでは、フィリピンにおける外国軍の性被害者の支援もしているとのことでした。

レチルダさんの話から、当初恥ずかしく人前にも出れなかった かつての被害者たちが、21年間戦い続けるなかで、どのようにエンパワーされ、今では、性被害にあった女性たちを勇気づける活動をするように変遷してきたことがよく理解できました。1992年に最初に被害を名乗りあげてから、自分たちは侵略戦争の被害者であることを理解し、ずっと正義のために絶え間なく闘ってきたそのなかで、彼女たちは尊厳を取り戻していくのです。

また、3年半の日本軍の占領期のレイプについて詳しく話していただきました。

フィリピンでは、174の強姦事件だけが記録に残されたが、この間「慰安所」はフィリピン中にあった。明らかに日本軍による強制されて拉致、強制に性奴隷にされた、と訴えられました。フィリピンのゲリラ掃討のなかで、女性たちは、日本軍によって腰に縄をつけて引き回されたのです。

最後に、現在のロラたちの状況について。

174名のうち73名が死亡し、街頭での抗議行動に参加できるのは、6-10人しかいない。(リラ・ピリピーナ以外のグループで支援を受ける被害女性たちはまだ他にいます)。

法廷闘争はもう疲れた。国連での動きはあり、戦争犯罪だと認め勧告を出してくれているが、日本政府はまったく動かない。最高裁でも却下されている。そんななか、街頭で訴えるしか道がないが、ロラは年老いていく。

強制された証拠は、証人の記憶のかなにあります、として、最後に日本の市民に向かってアピールされました。

これが歴史的な真実です。みなさんこそが、みなさんの政府に圧力をかけることができます。日本政府を変えることができるのは、あなた方なのです。よい歴史であっても悪い歴史であってもそれを直視しなければなりません。








カテゴリー:団体特集 / 慰安婦問題 / シリーズ

タグ:慰安婦 / 戦時性暴力 / 軍隊性奴隷制

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