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審判の申立て・取下げ・呼び出しに応じない場合【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-3(28) 28

2013.12.18 Wed

【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-3(28) 28

審判の申立て・取下げ・呼び出しに応じない場合 

 

審判の申立てをするにはどうしたらいいですか。 審判を申立てましたが、取下げたいです。取下げることはできますか? 審判の呼び出し状が届きましたが、裁判所に行きたくありません。呼び出しに応じなかったらどうなりますか?

◎ 審判の申立て  

婚姻費用の分担や養育費、面会交流などの「別表第2の事件」(家事事件手続法の別表第2に分類されている事件のことです。)で調停をまず申立てていたけれども不成立になった場合、事件は審判手続に移行し、審判の申立ては調停の申立てのときになされたものとみなされます(家事事件手続法272条4項)。
この場合、別途申立書を提出する必要はありません。  前もって調停を申立てないまま審判を申立てたる場合、家庭裁判所に家事審判の申立書を提出します。申立書には当事者(申立人や相手方のこと)、申立ての趣旨及び理由を記載しなければなりません(家事事件手続法49条1項、2項)。
家庭裁判所のホームページから審判申立書の書式がダウンロードできるようになっています。家庭裁判所が用意した書式ではない申立書でも受理されますが、書式を利用した方が簡単でしょう。家庭裁判所によっては、申立書以外に、事情説明書、子に関する事情説明書、進行に関する照会回答書の提出も求められています。
申立書、事情説明書、子に関する事情説明書は相手方にも送付されますので、それを前提に記載しましょう。書式はいずれもホームページに掲載されていますので、確認してください。

◎ 審判の取下げ  

審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、原則として審判があるまでは、申立人の意思により取り下げることができます。婚姻費用の分担や養育費、面会交流などの別表第2の事件には、特別の定めがあり、審判が確定するまで(審判がなされてから2週間以内に即時抗告しなければ確定します。家事事件手続法74条4項5項)、取り下げることができることになっています。
別表第2の事件は、当事者間の話し合いを経た合意により定めることができるもので、公益性は相対的に低いからです。ただし、審判が出てやれやれようやく決着ついたとほっとした相手方にとっては、いきなり取り下げられてはびっくりしますし、納得いかないことでしょう。ですから、審判があった後でも確定する前であれば、相手方の同意がなければ、取下げは認められません(家事事件手続法82条1項、2項)。

ただし、別表第2の事件でも、財産分与や遺産分割は、申立人のみならず相手方も審判を受けることに特に強い利益がるタイプの事件です。そこで、これらの事件については、審判前でも、相手方が書面を出すなどした後は、相手方の同意がなければ、申立てを取り下げることができません(家事事件手続法153条、199条)。

◎ 呼び出しに応じないと?  

家庭裁判所から家事審判の手続の期日に呼び出された場合、出頭しなければなりません。
やむを得ない理由があるときは、代理人を出頭させることでもよいことにはなっています(家事事件手続法51条2項)。弁護士を代理人としてたてた場合でも、やむを得ない理由がない限り、本人が出席しなければなりません(この点は民事訴訟とは違う点です)。
正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所から5万円以下の過料に処せられてしまいます(同条3項)。

裁判所に行くなんて大事だ…という気持ちになるかもしれませんが、行ってちゃんと自分の言い分を知らせた方が良いのでは?無視して、不利な審判を出されても、それからあわてて即時抗告してもなかなか変更するのは難しいかもしれませんし、おっくうがらずに足を運んでくださいね。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / フェミニズム / 女性学 / 弁護士 / 打越さく良 / 審判