エッセイ

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発達障害と学校の困難 秋月ななみ

2014.07.16 Wed

                             発達障害かもしれない子どもと育つということ。20

 

発達障害チェックシートできました―がっこうのまいにちをゆらす・ずらす・つくる

著者/訳者:すぎむら なおみ 「しーとん」

出版社:生活書院( 2010-02 )

定価:¥ 2,160

Amazon価格:¥ 2,160

単行本 ( ページ )

ISBN-10 : 4903690504

ISBN-13 : 9784903690506

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 読者の方からメッセージを戴き(有難うございます。本当に励みになって嬉しいです!)、そのなかで紹介されていた『発達障害チェックシートできました―がっこうのまいにちをゆらす・ずらす・つくる』(すぎむら なおみ、「しーとん」著、生活書院)があまりに面白かったので、触発されて最近思っていることを書いてみようと思う。

 

発達障害の療育で会うお母さんたちのなかには、「子どもの診断がつかない」ことに悩んでいるお母さんがいる。はじめは正直にいって、何が悩みなのかがまったく理解できなかった。「子どもが発達障害と診断されてしまった」といってショックを受けることはわかる。しかし、診断がつかないからってそんなに悩むことだろうか。素人には理解できなかった。

 

そもそもこの長ったらしい連載のタイトルからみてわかるとおり、個人的には「発達障害」という名前には疑問をもっている。「発達障害かもしれない」という言葉には、自分の子どもが「発達障害という診断を受けるかもしれないし、受けないかもしれない」という迷いがあった。ただそれよりも何よりも、「発達障害」という概念は、とても奇妙な概念だと思っていたからである。そしていまでもまだ思っている。

 

もちろん、発達障害は存在している。それは紛れもない事実だ。しかし特定の認知の傾向をもつひとたちに「障害」という名前を与えて、ときには投薬までして「治療」や「療育」の対象とすることは、よくよく考えてみれば奇妙なことだ。それまでは「個性」や「落ち着かない子」というカテゴリーで通用してきている子たちに、ことさら焦点を当てようとするのだから。

 

しかし、やはりこの不思議なカテゴリーで焦点化されなければならない子どもたちはいる。発達障害という名前がなければ、怠けているとか、やる気がないとか、どうしてできないんだと叱責されて、学校を辞めたりせざるを得なくなる子どもたちが。

 

「診断がつかない」ことはこのような本人の「やる気」の問題に還元されてしまうことを意味する。だからこそ親は診断をつけることに躍起になるのだということを、最近遅まきながら理解した。つまり親と子どもの関係だけなら、診断名はまったく必要がない(親が「この子にはそういう傾向があるなぁ」と思っていればよい)のだが、ひとたび学校という集団に投げ込まれると、「できる」「できない」がどういう理由からなのかが、とても重要になってくるのだ。

 

子どもが小学校にあがってから、なかなか大変である。その理由は、学校が「勉強をするところ」だからである。生活をするだけの幼稚園や保育園ではなかった問題が、学校にあがると同時にでてくる。それは一斉にみんなが座って一斉に授業を受けるという日本の教育のスタイルでの「勉強」という問題である。

 

紹介された『発達障害チェックシートできました―がっこうのまいにちをゆらす・ずらす・つくる』は、発達障害を発見するためのよくあるチェックシートではない。子どもがどのような困難を抱えるのか、子どもの側に立ってニーズを掘り起こすためのものである。そこに描かれている学校と家庭の抱えるそれぞれの問題とすれ違いを、共感をもって読んだ。次回、それを紹介します。

 

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シリーズ「発達障害かもしれない子どもと育つということ。」は、毎月15日にアップ予定です。

 

シリーズをまとめて読むには、こちらからどうぞ

 

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カテゴリー:発達障害かも知れない子供と育つということ / 連続エッセイ

タグ:発達障害 / 子育て・教育

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