エッセイ

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裁判で離婚が認められるには(1)【打越さく良の離婚ガイド】NO.3-13(38)

2014.10.18 Sat

裁判で離婚を認められる場合はどんなときですか

◎  裁判で離婚するには離婚原因が必要

裁判によって離婚が認められるには、以下の民法770条1項の離婚原因が必要です。

① 配偶者の不貞行為(民法770条1項1号)

② 配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)

③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(3号)

④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)

⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

これらのいずれかがあれば、他方が同意しなくても、裁判所に離婚を認めてもらえます。逆に、自分が離婚したくなくても、これらのいずれかがあれば、裁判によって離婚が認められてしまうことになります。

なお、①から④に当たる場合でも、裁判所は、一切の事情を考慮して、婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができることになっています(民法770条2項)。

◎  不貞行為とは

①の配偶者に不貞行為がある場合とは、配偶者以外の第三者との自由な意思に基づいて性行為を持つことです。もっとも、一度きりの性行為の場合、未だ婚姻関係は破たんしていないとして、離婚が認められないこともあるかもしれません。しかし、第三者との一度きりの性行為のほか、別居等その他の事情とあいまって、⑤の婚姻を継続し難い重大な事由がある、とされることもあるでしょう。

性行為までしたかどうかの立証は出来なくても、非常に親密な関係であること(キス、連日深夜まで2人きりで食事etc.)を立証出来れば、そのこととその他の事情をあわせて、やはり⑤の婚姻を継続し難い重大な事由ありと認められる余地があります。

よくあるのが、夫婦が同居中に、第三者との性行為があったかは立証できないけれども、別居後については証拠がある場合です。別居後間もないときは、未だ婚姻関係が破たんしていないとして、不貞行為に当たると判断される可能性があります。しかし、別居後数年経った後の性行為の場合には、既に別居等により破たんしていた後ということで、第三者との性行為自体は離婚原因と認められないことと思われます。なお、別居後何年経てば、不貞行為といわれないのか、というと、明確な基準はありません。別居後も夫婦がどの程度交流していたか(別居はしているけれども頻繁に会っていたり、旅行に行ったりしていたら、そもそも破たんしていないということがありえます)等、様々な事情を考慮して、いつ破たんしたかが判断されます。

◎  有責配偶者からの離婚請求

では、不貞をした配偶者の方からの離婚請求は認められるでしょうか。裁判所は、婚姻が破たんしていても、主として破たんに責任を負う配偶者(有責配偶者)からの離婚請求を認めませんでした。しかし、1987年9月2日、最高裁は、離婚請求は、民法全体の指導理念たる信義誠実の原則(権利の行使は信義に従い、誠実に実行しなければならないという原則)に照らしても容認されうるものであることを要するとした上で、①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、②夫婦間に未成熟の子が存在しない場合には、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれるなどの事情が認められない場合には、有責配偶者からの離婚請求も認められる、と判断しました。

別居がある程度長期におよび、未成熟の子どもがいない場合(ただし、高校生の子どもがいる場合でも認められたケースもある一方、成人の子どもでも障害をもっていたり病気であったりする場合には認められなかったケースもあります)、相手方配偶者が離婚後生活に困らないように金銭的な援助を約束できるのであれば、離婚原因をつくった側からの離婚請求も認められる余地があります。結局、認められうるといっても、多額のお金を工面して相手方配偶者に提供する等、相当努力をしなければなりませんね。

  ②から⑤の離婚原因については、次回にまわします。

カテゴリー:打越さく良の離婚ガイド

タグ:非婚・結婚・離婚 / くらし・生活 / フェミニズム / 女性学 / 打越さく良 / 有責配偶者 / 不貞行為 / 裁判離婚