2015.04.01 Wed
岩手から発信せよ No.13
2015年4月から2年間、私は、盛岡市環境審議会委員に任命されました。これは、市の環境保全および創造に関する重要事項を調査審議するための市長の附属機関です。盛岡市をよりよい環境にしていくために、市役所の環境企画課の仕事内容をチェック、審議するメンバーということです。現在審議会は、20名の委員で構成され、
1、 地球環境部会
地球温暖化対策に関すること
資源の循環的利用に関すること
大気、水質などの生活環境に関すること
2、 自然・歴史環境部会
自然環境の保全に関すること
歴史的環境の保全に関すること
の2つの部会に分かれて、それぞれの関係経験者が審議します。私は、地球・生活環境部会に振り分けられました。
さて、5月27日に新規のメンバーに対する事前説明会があり、出席しました。
内容は、所掌や組織構成の、運営要領などのほか、「盛岡市環境基本計画」「平成25年度環境に関する年次報告書」として、「盛岡市地球温暖化対策実行計画」「盛岡市グリーンオフィス行動計画」の説明と、環境基本条例の提示でした。
分厚い冊子には、様々な表やグラフが載せられ、一度見ただけでは、検討しかねる量です。何項目かの説明の中で、二酸化炭素の排出量削減目標を京都議定書もとづき1990年度より-6%を目標に掲げているものがありました。しかし、その表では、2011年度は、基準年比が35%増加しており、それは、東日本大震災等の影響により、火力発電用の燃料消費が増加し、電力の二酸化炭素排出係数が大幅に上昇したためと説明されました。
確かに、原子力発電をストップした分、火力発電が増えたのですから、そう言えるとは思いますが、それならば、他の項目で、放射能による環境汚染も取り上げているのだろうと思い、「渡された資料には、放射線量の年次比はありませんか?」と質問してみました。
すると、担当課の3人の役人たちは、パラパラと一斉に資料を見はじめて、
「盛岡市の環境基本計画にのっとった資料なので、放射能についての項目はありません」といわれました。
「震災当時は、シイタケの榾木が汚染されて、ダメになり農家も被害が大きく、産直の方も出荷停止で不安だったはずですよね。盛岡市が、定点観測されているのでしたら、環境に大きな影響を与えるものですから、資料として、添付すべきじゃないですか?」
というと、
「観測数値は、HPで公開していまして、現在は、基準値を上回るようなところはございませんから」という。
「いや、それは、分かりますが、放射線量は、これからどうなるかわからないじゃないですか。だから、見ていく必要があるのではないですか?」
「それは、別の課がやっていますから・・・」
ということでした。
なんと、水と緑の都盛岡の環境基本計画には、CO2削減や、水質汚濁、悪臭、ゴミ削減、3R推進、木質バイオマス、再生可能エネルギーなどについての項目や、年次比表はありますが、「放射能汚染」についてのことは一切書かれていなかったのです。
震災時に山に降った放射能が3、4年たってゆっくりと移動し、最近、川の水に流れ込んできているとも聞きます。枝野さんが言ってたように、「ただちに影響はありません」でしたが、「そろそろ影響があります」のでは?
国の除染基準は毎時1マイクロシーベルトですが、盛岡市はもっと厳しい基準の毎時0.19マイクロシーベルトに基準値を置いています。平成25年に市内の公立学校、16校で除染を行っています。
http://www.city.morioka.iwate.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/026/585/kuukan260522.pdf
また、岩手県は北上山系にILCを誘致するのに躍起になっています。
そもそもILCってなに?経済効果のメリットは何億円って言われるけれど、自然環境に与えるデメリットは?実験施設の放射能漏れや、豪大な電力使用、また、実験終了後の空洞への核のゴミ捨て場移行など懸念されています。
岩手県のお隣は、大間や、六ヶ所村、東通など原発関連施設のある青森県です。
「環境保全」は地球規模で考える必要があるのは、もうだれでもわかっていることです。
しばらくご無沙汰していましたが、震災から4年めを迎え、今後の会議の様子や、岩手県の気になることをまた随時レポートさせていただきます。
(2015.3.27記)
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