2015.08.27 Thu
バレエ雑誌『クララ』の「兄弟誌」『ダンシン』創刊(2013)、同誌での<バレエ・ヒーローもの>漫画『ダン』の連載開始、バレエ教室でのボーイズクラス開設の動きなど、近年、男子バレエ人気の高まる日本。そんな中、公開されるのが、ノルウェー映画『バレエボーイズ』。首都オスロでプロのバレエダンサーになることを夢見て切磋琢磨する三人の少年たちの成長を追うドキュメンタリーだ。バレエ第一の美形、親に学業優先を勧められ一度はバレエをあきらめるアジア系、ガタイの良い筋肉系と、それぞれに才能・個性・身体能力・家庭環境の異なる三人が「大事なことだけを」と合言葉を唱和しながらオスロ港のそばを歩む光景が青春物風。学校・家庭など彼らを支援するサポート体制もドキュメントされている。一種の教育ドキュメンタリーとしても参考になるだろう。12才から16才という進路決定の大事な時期に、バレエがだめならどうするか――問いを投げかける学校教師の姿が目にやきついた。後方支援はしても、息子の自立第一にさらり身をひく親の姿も。映画は人生のすべてを映し出してはくれないが、人生の決定的ターニングポイントを鮮やかに切り取り、観客に差し出してくれる。本作で私たちが眼にするのは、そうした稀有な瞬間の連続だ。 ラストには、〈個〉としての自分を確立し、自立した青年の、すばらしく充実した自信に満ちた顔に出会える――
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カテゴリー:新作映画評・エッセイ / 映画を語る