エッセイ

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変なこだわり 秋月ななみ

2015.10.20 Tue

                    発達障害かも知れない子どもと育つということ。34

 娘が「うちではご飯を作らないから、外食ばっかりって、友達に教えてあげちゃった」といってきた。眩暈がする。娘は外食をしたがる。母子家庭で二人きりの食事が淋しいのだろうと解釈している。正直言って家で食べれば、娘の立ち歩きで2時間ほどかかるときもあり、娘が帰ってくるのが7時、夕食を用意して8時、叱られながら食べ終わるのが10時ということも多々あるのだ。これを外食なら、8時には終われるということもあるし、2人分なら相対的に安いので、助かる。確かに他の家よりも外食の比率は高いかもしれない。

 しかし「ご飯を作らない」とはどういうことなのだ。「毎日作ってあげているじゃないの?」というと、「だって、昨日はパスタでしょ? その前はうどんでしょ? ご飯食べてないもん」。うちは有機栽培の宅配を利用しているので、お米が切れて、注文、宅配されるまでに、時間がかかっていたのだ。

 「あのね。そう聞いたら、ご飯ってお米のことだって皆思わないの。ママ、ご飯作っているよね? 毎日誰の作ったご飯食べているの? 二度とそういうことをいわないで! ママと暮らせなくなるよ?」。夫は、「妻は育児もやったことがないし、家事も放棄しています。一度もご飯を作ったことなんてありません!」と裁判所で喚き散らし(まさに夫がそうなのだが)、こちらはピリピリしているというのに、娘がそんな「嘘」を積極的につかなくてもよかろう。問題は、娘に悪気がないことだ。

 それからなにかというと「ママがご飯を作ってくれない」と、他の人に言いつけ始める。「どうしてそういうことをいうの?」と聞くと、「わかんない。ダメって思うと、つい言っちゃう」。なんだか変なこだわりのツボを押してしまったらしい。
 
 でも普通の人には理解されない。多分そういうと「え?」と皆が身を乗り出して聞いてくれて、同情してくれて、気を引くことができることに気がついて、娘も繰り返し始めたのではないかと思う。虐待だとか言われたら面倒になるから、心底やめて欲しいのだが、いったいこれは何なんだろう。

 虐待するような親をもっていても、普通子どもは親をかばって、親のつけた傷も「自分でやった」と嘘をつくことすらあるという。ところがやってもいない虐待を、つくりだされてしまうとは、なんだか妙にやりきれない。そう思ったら力が抜けて、ご飯を作る気力がまったくなくなってしまった。

 本当に毎日外食をしていたら、みるみる体重が増えてきたので、反省して自分のためにご飯をつくることにした。なんだかなぁ。いくら大変でも報われていると思えれば、かなり育児の気分も違うのになぁと思う。

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シリーズ「発達障害かもしれない子どもと育つということ。」は、毎月15日にアップ予定です。

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カテゴリー:発達障害かも知れない子供と育つということ / 連続エッセイ

タグ:子育て・教育