2012.05.30 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 希望が濃密に詰まった一冊を見つけた。高齢者も障碍者も、失業者も外国人も、フリーターもニートも、社会的弱者に押しやられないための希望。それは、抵抗し、声をあげることからいつも始まる。本書は、日本語教育の現場で日本へ移民として定住する外国人と長年向き合ってきた春原憲一郎さんと上野千鶴子さん他、14人のさまざまな分野の実践者と対話が収められている。
2009年12月、春原さんは上野さんとの対談を終えて、こう振り返る。(以下抜粋)
―本郷の赤門を入ると一面の銀杏黄葉、目路のかぎり降り積もり、降りしきり、十二月の光に照り映えていた。上野千鶴子さんは予想通り(ホント)かわいい人だった。あんな魅力的な文章を書ける人はかならずかわいくて、優しい人だ。初めて会ったのにコアな話をぐいぐいして、編集者は大変ね、と上野さんに言わしめた。・・・・その晩、大切な人が息をひきとった。さっそく、メールが来た。「上野といるより(その人)のもとにいてくださったらよかったのに」。優しい人だ。だからこそ暴力への怒りは深く強い。一面の黄金色の風光と生の愛しさとその舌鋒の鋭さから「わたしみたいなの、きっと舌癌で死ぬわ」という上野さんがひとつになって眼底につきささってはなれない。―
現代社会は、強さ(権力)に寄生する「勝ち組」もまた、いつ負け組に転じるかのリスクを背負った時代である。多くの外国人が日本に移民し、ますます弱さを抱えた人々が犇めく。生き延びるための希望とは? 1 5人の眼に見えるものばかりでなく、見えないものをも見とおせる思想とはなんであろうか。それはキレイ事では語れない命を懸けた叫びである。
堀 紀美子
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