上野研究室

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上野千鶴子の選憲論 ちづこのブログNo.70

2014.05.04 Sun

憲法記念日に一日遅れましたが。今や山梨県の「アイドル」となったうえのが地元紙の「憲法インタビュー」に登場しました(笑)。

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社会学者・上野千鶴子さん 憲法語る新刊
「選憲論」提唱 議論に期待(山梨日日新聞5月2日付け朝刊)

リード:ベストセラー「おひとりさまの老後」で知られる社会学者の上野千鶴子さんが、憲法について論じた「上野千鶴子の選憲論」(集英社新書、740円税別)を刊行した。「護憲」でも「改憲」でもなく、憲法を国民が選び直すという意味の「選憲」を提案する。「多くの人が憲法について考えるためにも、正式な手続きにのっとった正々堂々とした議論が必要だ」と訴える。
本文:「『護憲』にしても『改憲』にしても、人々の意思表示がないままものごとを進めるのは不誠実ではないのか。議論をして、結果として人々が選んだものなら、たとえ現状のままであっても納得ができる」。上野さんが憲法をめぐる動きに「選憲」を提案する理由だ。
上野さん自身、現状の憲法に問題がないとは考えていない。象徴天皇制を定める第1条を変えたい、と考えている。改憲には衆参両議院の議員3分の2以上が賛成し、その後、国民投票で過半数の賛成が得られることが必要となる。「さまざまな案が出ても、改正のハードルを越えられない」ことも想定される。それも「国民の一つの選択。生まれた時には憲法があった戦後生まれの人々にとっては、憲法を『再選択』する機会になる」。そうした選択の機会をもつことが大切だと考えている。
「例えば、金婚式を迎える夫婦も、“解散”の危機を乗り越えながら、人生の節目節目で選び直しをしてきたはずでしょう。『欠点はあるが、ほかに相手もいないし』と…。憲法も何度も選び直しをすればいい」。それが憲法を身近なものにすると考えている。
その上で「選び直す」ための作業は、定められた手続きにのっとって行うことの大切さを訴える。憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使が可能との認識を示す安倍晋三首相を批判。「(改憲手続きを定めた)第96条の緩和を試みたりしていたが、改憲したいのなら、正々堂々とルールにしたがって国民の意思を問うべきだ」と、解釈による改憲という「裏技」では正統性を獲得できない、と批判する。
憲法は、国民が国家と約束して、国家権力を縛るもの。憲法は、国家の安全保障より人間の安全保障を優先するものであってほしい―。
上野さんは今、こんな思いを強くしているという。
自民党が示した憲法草案の条文が気にかかるからだ。国防軍の動員が想定される「緊急事態」に「外部からの武力攻撃」「大規模な自然災害」と並び「内乱などによる社会秩序の混乱」が含まれることを警戒する。権力を守るために軍隊が国民に銃を向ける事態はままあるからだ。日本でも60年安保の際に、当時の岸信介首相が自衛隊の出動を要請したエピソードを紹介している。
自身初めて憲法を論じた今回の「選憲論」には、「主権者である国民として」こうした危機感が背景にある。「憲法学者ではなく素人なので、難しい言葉は使っていない。大人だけでなく、中学生や高校生にも読んでほしい」。共感や反発、さまざまな反応が出ることを想定したうえで、憲法について考えるきっかけになれば、と願っている。

うえの・ちづこさん 1948年富山県生まれ。社会学者。ジェンダー研究の第一人者。東大名誉教授。北杜市に仕事場を構える。著書に「近代家族の成立と終焉」など。






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タグ:憲法・平和 / 上野千鶴子