2011.11.03 Thu
【朝日カルチャーセンター★受講生レポートNO.13】「日本のフェミニズム」
★日本のフェミニズム:第6回/『権力と労働』★2011/10/1 大沢真理先生、上野千鶴子先生
≪シリーズ日本のフェミニズム~権力と労働≫
上野千鶴子先生・大沢真理先生による対談形式の講義。均等法施行から今日まで女性の労働状況の約三十年間が、ザクザク~っとえぐるようにレビューされました。
雇用機会均等法は、“結婚定年制”のような、表立った差別を控えさせる効果はあった。でも、「一般職/事務職」という、処遇差別のアタリマエを生じさせてもいた(コース別雇用管理06年に「原則」違法に)。
また、均等法制定の85年に、労働者派遣事業法も施行されており、これが90年代に強まる雇用の柔軟化の端緒でもあった。
つまり、キャリアウーマンのイメージの影には、大量の事務・派遣OL、パートのおばちゃんおねえちゃんがおり、圧倒的多数の女性が、夫の資力に頼れようが頼れまいが、安い労働力に据え置かれてた。
「80年代はオンナの時代と、マチガッテ呼ばれたのよね」と上野先生。
さて90年代後半。このころは、介護保険法や男女共同参画社会基本法、DV防止法と、女性を風通しよくする政策がばんばん通っていった。でも、それに並行して、労働法制は雇用の柔軟化を進めたため、所得格差がごんごん拡大。
こうしてできてきた格差を、税制は緩和するどころか、強化し続けた。
2000年に入ると、年収二百万の人と、八百万の人がいたとして、どちらも所得税は年収の8~12%。社会保険料の負担は、どちらも年収の12~10%程度。
つまり、低収入の人ほど、所得税と社会保険料が生活を圧迫するかんじで課せられる、という事態になった。
大沢先生は、こうしたデータをモト自民党議員で党税調(税制調査会)のコアメンバーだった柳澤伯夫氏(厚労大臣だった時に、「女性は産む機械」と発言した)に提示したところ、
「率直に反省するっ」と(オトコらしく)ゆったんだそう。「反省するんだ!」と上野先生。「したんですよ」と大沢先生。
なにしろ自民党政権のイメージでは、「日本はいつだって一億総中流」なので、「がんばった人が報われる社会にしなけりゃ」と思って、所得税の累進性をなくしたんだって。おいおい。
実際のデータをフィードバックさせない、イメージの中の「日本」に対して、政治がなされてきたもよう。
イメージの化け物をなだめすかして、実態を掴むとこから始めないといけないなんて、原発とそっくり。ひょっとしてそこらじゅう人災?、ってかんじでした。
杵渕里果(受講生)
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
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