2011.11.07 Mon
【拡がるブックトーク@東京都北区】主催者からのご報告!(その1)
『新編日本のフェミニズム』第11巻 『フェミニズム文学批評』
各地の男女共同参画センターを会場に開催されている、ブックトークが東京都北区にお目見え。「女性の視点で読み解く~上野千鶴子さんが語る、日本文学とは」を10月8日(土)に開催した。
岩波書店『新編日本のフェミニズム~11巻フェミニズム文学批評』を題材に、上野さんによる鋭い指摘と時には笑いを誘いながらの講座になった。
まずは、『新編日本のフェミニズム』を出版した経緯と現在各地で開催されているブックトークの紹介。ジェンダーやフェミニズムを学ぶ際には、どの分野を切り口にするのか、それを明確にしなければならないほど研究の奥行きが深まり、『新編日本のフェミニズム』は12巻にもなったとのこと。ブックトークを開催していると、若い世代から「こんな話は聞いたことがなかった」「とても面白い」という感想が多く寄せられているそうで、今回のブックトークによって次世代にフェミニズムのバトンが渡されているのだ、と実感した。
本題の日本文学。フェミニズム文学批評は、海外からの輸入品であるとの解説があった。日本文学は男性作家を中心にすえ、男性批評家が自分の好みで批評を展開し、女性作家は「女流」という名のもとで2流扱いされていたものを、女性によって再評価された。また、男性作家の作品も女性による読み直しによって、男性による評価とは大きく異なることなどの説明があり、日本文学界から女性が排除されていたことを再認識した。
上野さんが、富岡多恵子さん、小倉千加子さんと一緒に日本の文学批評を展開した『男流文学論』(筑摩書房)は、日本文学界に女性側から「石を投げた」とコメント。それに対するバッシングも相当あったようで、上野さんたちの勇気に感謝したい。
現在は「文学」の範囲が広がり、マンガやアニメ、映画などもフェミニズム批評の対象になってきているが、その一方で、日本文化の優位性を高めるため、漢詩は忘れ去れているとのこと。
「純文学」という言葉があるが、何が「純」なのか、だれがその基準をつけるのか。文学を読む際にも、自分の視点で読み解くことが基本であり、人の評価には惑わされない、ということを確認した講座となった。自分の判断基準を確立し、高めるためにも、ますますジェンダーの視点を磨かなければならないと思った。
講座の参加者は50名程度。参加なさったみなさんからは、「こんなことを考えながら文学を読んだことはなった」「文学をジェンダーとして読み取ることの面白さ」「文学の見方、読み方を変えてみよう」という感想を多くいただいた。これをきっかけに、あらためて文学作品や批評論を読んでみたいという声も多く、読書の秋にふさわしい講座となった。
■参画ネット・ノースヴィレッジゆう 音喜多かおる■
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
タグ:女性運動 / 本 / 上野千鶴子 / 小倉千加子 / フェミニズム文学批評 / 東京都北区男女共同参画センター / フェミニズムのバトン / 富岡多恵子 / 男流文学論 / 純文学 / ジェンダーの視点 / 主催者報告