2014.11.18 Tue
2014年10月29日、
函館市が提訴した大間原発裁判の
第2回口頭弁論が東京・霞ヶ関にある
東京地方裁判所で開かれました。
傍聴を希望する人が200人近くも集まっていました。
残念ながらコンピューター抽選で瞬時にして
傍聴券の抽選に外れたので(おみくじ方式でなく味気ない…)、
口頭弁論のあとに参議院議員会館で行なわれた
報告会の内容を以下にご報告します。
■函館市大間原発訴訟(2014.10.29)裁判報告会■
(主催:大間原発反対関東の会)(16時~@参議院議員会館 講堂)
[1] 工藤函館市長インタビュー
*原発は安全か危険かを論じる必要はない。福島原発の事故を見れば原発は危険だ。
[2] 弁護団から裁判の報告
★兼弘弁護士(上記1の聞き手をされた方)からの補足
*函館市議会は全会一致で大間原発の提訴に賛成した。議会には自民党の議員もいるなか、苦労があったのでは? と聞くと、市長は「そんな説得なんかしていないんだ、福島の事故で函館も被害を受けた。少なくとも対岸の大間原発に関しては、害しかないと経済界も考えている、との返答。
*函館市議会は、事前に全党派の議員で視察に南相馬と浪江町へ行った。どちらも、原発から何の利益も受けていないがスゴく被害を受けた自治体。
*議会には自民党の方もいますよね? と聞くと、「でも市民の声には逆らえないから」と市長。
★海渡弁護士からの報告
*被告の国も電源開発も、自治体が提訴することはできないから訴えを却下しろ(=函館市は原告として的確でないから裁判所は函館市の訴えを門前払いしろ)と主張している。
*今回の裁判では、我々原告から、これについて説明を求めた(求釈明)。
*工藤市長は「(提訴にあたり)苦労していない」と言っているが、していると思う。世に脱原発をいう首長は多くいるが、裁判を起こした首長はいない。
★今回の求釈明を担当した中野弁護士からの報告
(資料は→ http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014031100330/ )
*求釈明のポイントは次の4点:
1)存立維持権の具体的内容(自治体がなくならないようにしてください、という主張)
(1) 地方自治の本旨←団体自治の帰結
(2) 自治体における「公有財産」の重要性・・・代替不可能であるということ
(3) 自治体における『地域」の重要性
2)福島第一原発事故による自治体存立の危機(事実として、危機は存在する)
実例として:
浪江町は人口の100%が避難中。世帯数増加=ともに暮らしていた家族がバラバラの避難先へ。
請戸の浜では原発事故による退避命令で救助に行くことができなくなり182名もの犠牲者を生んだ。
南相馬は生産人口の1/3がいなくなった。土地や動物をつかって仕事/生産する人にとって、それがなくなるということがどういうことか。
ドイツのミュルハイム・ケアリッヒ原発は1998年に第3次判決により廃炉が決まった。大きな理由は地震。
3)被告国に対する反論1:法律上の争訟性
日本の法律では、具体的なことがないと裁判できないことになっている、だから原告の訴えを門前払いせよと被告は主張しているので、それへの反論)
4)被告国に対する反論2:原告適格
(1) 改正前の原子炉等規制法か、改正後の原子炉等規制法か。
改正前炉規法によって国の機関がした許可は、この法律による改正後のそれぞれの法律の相当規定に基づいて国の帰還がした許可とみなす(原子力規制委員会設置法附則 31)→したがって、根拠法令は改正後を前提とする(=被告国の主張は誤り)と原告は主張。
(2) 被侵害利益が重要で、侵害態様も重大。
自治体の存立維持権は、私人でいえば生命に匹敵する重要な利益。原発事故は、これを半永久的に侵害する。
(3) もんじゅ最高裁判決
個人と法人とを別異に扱う理由なし。
[3] 大間原発訴訟の会代表 竹田とし子さんのお話
大間原発をめぐり、現在2つの訴訟がある。
a) 住民主体で函館地裁へ2010年7月に提訴
b) 函館市主体で東京地裁へ2014年4月に提訴
1994年 「ストップ大間原発道南の会」発足。副会長に。同会は大間の人たちと一緒にやっていた。大間原発計画に反対する人が大間にも多くいた。
1998年頃 大間原発のヒヤリングに函館の人が入れないのはおかしいと訴えて裁判を起こす。2回目のヒヤリングから函館の人も入れるようになった。
初めは「海が汚れる」「原発で町は潤わない」と言っていた人たちが、電源開発が「準備工事」として土地をならしたり頻りに町へ金を落とすなか、次第に変 わっていった。そういうなかで、あさこはうすの熊谷あさこさんなど、反対の声をあげつづける人たちは「町が潤うのを反対する人」という形で孤立していっ た。
2008年 原子炉設置許可が下りる。
2010年7月 住民主体で提訴。いままで14回の口頭弁論があった。次回は来年3/27。
2014年 寄付してくださった方がいて、大間原発訴訟の会は北海道新聞道南版に全面広告を出すことができた。
そこからも分かるとおり、函館市の空気は追い風に変わってきている。
・安倍政権に変わった後、原発を再稼働させたいという国の意向のもと、裁判官が変わってきていると感じる。三権分立と言われてきたが、民主主義力がいま試されていると思う。
[4] 河合弁護士初監督作品「日本と原発」予告編上映
[5]今後のご案内
・11月26日(水)
大間原発を考える学習会「地方自治体と原発裁判ー海外の事例を踏まえて」
講師:海渡雄一弁護士
会場:スペースたんぽぽ
・12月25日(木)
函館市大間原発裁判の第3回口頭弁論(15時〜)
その後、裁判報告集会もあり(詳細は後日)。
(報告者:山秋真)
カテゴリー:大間原発計画
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