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SR(社会的責任)をめぐる冒険:その1

2013.06.03 Mon

今回は、ちょっと昔話になりますが、わたしのSRをめぐる冒険の、導入部分のお話をしたいと思っています。(先にお詫びですが、5月10日に開催したSRフォーラムについての報告は先延ばしです。お楽しみに!)

みなさま、「SR」は知らなくても、「CSR」という単語はご存じの方は多いのではないでしょうか。Corporate Social Responsibility、「企業の社会的責任」という考え方です。1970年代の環境汚染や1980年代の児童労働など、企業の活動が環境や社会に及ぼす、特に負の影響に対する懸念や企業の社会貢献活動への関心の高まりとともに、先進国の国際企業を中心に、その概念や取り組みが広がってきました。概念を一言で言ってしまうと、「企業は自社利益の追求だけでなく、より良い社会環境と、持続可能な地球環境を未来へつなぐ責任も担っており、それらは、利害関係のある他者(ステークホルダー。消費者、従業員、株主、取引先、言葉を話さない地球環境も含めます)とのかかわりの中で達成されなくてはならない」ということになるでしょうか。日本企業ももちろん、以前から国際社会に並行した動きはありましたが、日本では2003年が「CSR元年」と呼ばれていて、相次ぐ企業の不祥事なども引き金となり、企業の取り組みが加速します。それ以降、自分たちの取り組みを可視化し、コミュニケーションツールとしての役割も果たす「CSRレポート」「サステナビリティレポート」などと呼ばれる活動報告書を発行する企業も、ずいぶん増えてきました。今は、サービスや製品そのものではなく、CSRを意識したコマーシャル(「より良い未来の社会を描いて、そのためにわたしたちは企業活動をしています」、みたいな感じのメッセージ性、コミュニケーション志向の高い広告のことです)を出す企業も多いですよね。

わたしが具体的に「CSR」そのものに関心を持ち始めたのは、2006~2007年ごろからです。その後、ある団体のCSRレポート調査に2008年から2年間ボランティアでかかわり、2009年に350社ほどのCSRレポートを読んで調査したことで、その関心が急激に高まりました(調査は大変でしたぁ…)。各社の取り組みの違いと類似点、さまざまな工夫、企業風土や魅力も感じられてとても興味深かった一方で、驚いたのは、いかに自社のきれいな取り組みだけを拾い、拡大して見せたレポートも多かったか、ということでした。「みんなが出しているからうちも出す」的な、全く熱意を感じられない、担当者(っていうかおそらく代理店)にお任せ―♪、という感じのレポートも数多くありました。そしてやっぱり、と思いつつ、なんとも残念だったのが、人権・ジェンダーに関する項目の、量・質ともにあまりの少なさだったのです。(つづく次回は、CSRからSRへのお話です。)。

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と、ここまでで少しでもご関心を持ってくださった方は、ぜひ身近なCSRレポートに、じっさいに目を通してみてください。たとえば・・・、企業名を具体的にここでは出しませんが(もちろん、直接お尋ねいただければお答えしますが)、日本財団CANPANが出しているサイト「CANPAN CSR+」や、東洋経済新報社が開催してきた「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞(現在休止)」、環境gooのCSRコーナーなどをご参照いただくのはいかがでしょうか。データ、どこも充実していると思います。(中村奈津子)

タグ:SR(社会的責任)をめぐる冒険