暴力や殺人が絶えないスラムで育ち、劣悪な家庭環境で暮らす、いわば「問題児/落第児」のレッテルを貼られた生徒たちの前に現れた、一人の新任高校教師、エリン。生徒たちは、大人たちの人種による分断と闘争、憎しみの連鎖がそのまま持ちこまれたクラスの中で、同じように憎悪をぶつけ合い、学ぶ意欲も、人生に対する希望も何一つ持てずに過ごしていた。そんなクラスでたった一人、生徒たちの運命に抗い始めたエリンは、人が共感によって他者を理解する力と教育の可能性を信じ、生徒たちにいくつかの<本>と自分のための<日記>を渡して「世界の広さ」と「自らの言葉で、わたし自身を語ること」を教え始める。
富裕層に育った白人のエリンを、侮蔑と嘲笑で迎える生徒たちの未熟さや痛みに対し、エリンは蔑みも諦めも憐れむこともせず、対等に一人ひとりと向き合おうとする。彼女のまっすぐな信念はやがて生徒たちに届き、生徒たちは徐々に心を開いていくが、その媒介となるのが、生徒自身が獲得していく自らの「言葉」と「声」であることに、わたしは震えるほどの感動を覚えた。
この映画は、『The Freedom Writers Diary』というタイトルの、実在する高校生徒たちの日記で綴られた、1994年のベストセラーがもとになっている。子どもたちの抱える事情は、どれもが事実であるということを疑いたくなるほどに重たいが、だからこそ一人ひとりの声は、希望となって響いてくる(この本もおススメ!)。テーマ曲はマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な演説”I have a dream”をモチーフに、ラップで歌い上げるCOMMON feat. WILL. I. AMの”A Dream”。何度聞いても涙が盛り上がってきて、この映画にはこの曲以外にぴったりな楽曲はないなぁ、と思う。
最後に付け加えると、この映画の中でエリンは子どもたちとの信頼関係を手にし、教育への信頼をも築いていくけれど、一つだけ失うものがある。もし、自分かパートナーに、目の前の恋人よりも優先したい、全身全霊をかけて取り組むべき仕事が現れたらどうするだろう。この作品では、エリンとの関係を諦めて立ち去る恋人がちょっと情けなく描かれているけれど、この答えのない問いがもし、自分の目の前に現れたら、あなたならどうすると思いますか?(中村奈津子)
The Freedom Writers Diary: How a Teacher and 150 Teens Used Writing to Change Themselves and the World Around Them
著者:The Freedom Writers
Broadway Books( 1999-10-12 )
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