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病に浸透する言葉の暴力性を暴く 『隠喩としての病 エイズとその隠喩』 スーザン・ソンタグ

2009.06.19 Fri

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<p> 新型インフルエンザをめぐるニュースのなかで「水際作戦」や「総力戦」という言葉に異和感を感じた人にはぜひ手にとってほしい本。もちろん特に何も思わなかった人にも。近年は「闘わなくていいんです」というフレーズも聞かれるようになったが、病は軍事的な隠喩で語られることも多かった。「体の防衛力」「癌細胞を殺す」「癌との闘い」「エイズ撲滅運動」などなど。自ら癌を患っていた著者は、文学作品などに見られる結核と癌の位置づけの違いなどを見事に分析するとともに、病をめぐる「隠喩」が、病そのもの以上に病者を傷つけ差別化することを描き出した。病に無縁な人はいない。にもかかわらず、わたしたちは病をめぐる言葉の暴力に気づかず、あなたやわたしの不必要な痛みを生み出しているのではないだろうか。「軍事的な隠喩」には退却してほしい、と著者は述べる。肉体は戦場ではない、そんな隠喩は軍事屋に返してしまおう、と。 (K)<br />
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