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メジャーの隣――カナダの歌姫 Sarah McLachlan  岡野八代

2009.06.25 Thu

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<p>「ねえ、そのグラス、もう空いてるよ」って、女性の声で歌われたら、その彼女の相手、お酒を飲み干しちゃった人は、男性だと思っちゃいませんか?<br /> でも、“Hay, your glass is empty” って、呼び掛けられたら、その声が女性的であっても、はっとしないかな。「わ、わたし?」って。「飲み干しちゃった、よ、たしかにわたし?」。「少し酔ったし、もうめんどう」。「えっ、送ってってくれるの?どうして、いいのかな?」と。</p>
<p>一人考え事をしながらグラスをちょっと傾けるときに、懐かしくなってついつい何度もリピートしてしまうのが、サラ・マクラクランの “Good enough” 。ライブCD『ミラーボール』(1999年)を聞けば、サラが歌い上げる切なさと、〈一人で怯えてなくていいんだよ、出ておいで〉といったメッセージが聞こえてくるはず。<!–more–><br /> 1988年 <a href="http://amazon.co.jp/dp/B000002VGJ">Touch</a> でデビューしたマクラクランは、デビュー当時から、詩的でメッセージ性の高い歌詞と力強い歌声で、カナダでは常にトップ10にランキングされてきた、カナダを代表する歌姫。</p>
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<p>1994年に、 “Good enough” と “Ice Cream”が収録された『エクスタシー』(日本版は、1998年)が発表されると、カナダだけにとどまらず、多くのファンを魅了し、300万枚の売り上げを記録。その後も、1997年の『サーフィシング』(日本版は、2005年)は1,000万枚を突破し、世界の歌姫へ。最近は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ共作の”Happy Xmas (War is Over)”のカヴァー曲などを収めた、クリスマス・シーズンに相応しい『ウィンター・ソング』(2006年)を発表するなど、新しい試みを続け活躍中である。</p>
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<p>カナダといえば、映画史上最高の興行収入を得た『タイタニック』(1997年)の主題歌を歌ったセリーヌ・ディオンがメジャーだから、日本でサラは、人気歌手としては認識されていないのかも。大メジャー歌手を排出する隣国合衆国と比べても、どこかカナダは地味なままだ。わたしにとって、サラはいつもメジャーの隣、二番手にいる。だからこそ、自分にとって気持のいい歌を歌い続けられるんじゃないかなと思う。映画といえば、ヴィン・ベンダース監督『<a href="http://amazon.co.jp/dp/B000EGDDLI">ベルリン・天使の詩</a>』のリメイク版『<a href="http://amazon.co.jp/dp/B000SADJQY">シティ・オブ・エンジェル</a>』にも、サラは “Angel”を提供している。</p>
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<p>外国語の歌は、よほどじゃないと歌詞の意味まで考えてみたりはしないけど、サラの歌は、どうしてだか、いつも女性に語りかけているように聞こえる。そして、いくら合衆国のグラミー賞にノミネートされた経験があるとはいえ、やはり、サラはメジャーの隣で、〈自分がgood と感じる歌を自由奔放に〉がわたしのイメージ。このイメージは、サラのサウンドが要所で使われている映画 Better than Chocolate(1998年)を見たときから。ロンドンのレズビアン・ゲイ映画祭で賞をとったようだけど、残念ながら日本では、DVDは輸入盤しか手に入らない。<br /> 本映画がカナダで公開された時は、単なる恋愛コメディで異性愛者におもねっていて陳腐、といったような評価しか下されなかった。だけど、内容は、レズビアン・ショップが検閲捜査にあったり――これは、カナダでマッキノン・ドゥオーキンの「猥褻概念」が採用されたあと、警察の標的になったのがゲイ・レズビアン本屋だったことを考えると、非常に政治的なメッセージがある――、トランスの「彼女」とレズビアンとのカップルが誕生したり、離婚して落ち込む母と、母にカムアウトできない主人公との葛藤など、レズビアン・コミュニティの様子をこまやかに見せてくれる。<br /> 大国の隣、カナダの映画はよほど話題になるか、すでにハリウッドで活躍した監督の作品でないと、なかなか日本で紹介されない。Better than Chocolate が、西海岸ヴァンクーバーが舞台だとすると、東の都市トロントが舞台のレズビアン映画『月の瞳』(1995年)は、日本版がDVD化されている(2001年)。この2作を見比べてみるならば、大国の隣で目立たないカナダの――そんなの当たり前だけど――東と西のカルチャーの違いも垣間見られるかも。東部のトロントって、寒くて大変そう、なのです。だから、映画もシリアスになるのかな、と。<br class="clearall" /><br /> 『月の瞳』の主人公の恋人がサーカス団員であるところは、現在世界でもっともメジャーなサーカス、シルク・ドゥ・ソレイユを彷彿とさせます。</p>
<p><a href="http://wan.or.jp/book/?p=30" target="_blank">「黒人音楽と白人ミュージシャン、女性ベーシストCarol Kaye」へバトンタッチ・・・つぎの記事はこちらから</a></p>







カテゴリー:リレー・エッセイ

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