「課題の解決を妨げてきた諸要因の歴史的解明が,現在の課題を解くカギとなる」
わたしは大学図書館で働きながら筑波大学大学院で研究し,2014年に博士(図書館情報学)を取得しました。その学位論文をもとに加筆修正して勁草書房から出版されたのが本書です。2016年1月末に本屋さんに並びました。
大学図書館専門職員は比較的多くの女性がたずさわっている職種だと思います。この職種の戦後の歴史的経緯を,はばひろく収集した論稿を対象に専門職化の観点から分析しました。なぜ専門職員の設置が進まず,より高度な教育が整備されなかったのか,それらの要因を解明しています。
また,大学図書館だけでなく全ての種類の図書館にかかわる日本独自の構造にも初めて光をあてました。日本で「公共図書館の無料貸本屋論争」がおこったことの基本的因果関係にもふれています。図書館に関わる方々,図書館の存在に興味をもたれている市民の方々にひろく手にとっていただき,ご意見をいただけたらうれしいです。
さらに,大学図書館の課題は大学の教育・研究の課題と連動しているというのがわたしの見解です。現在進行中の大学における教育・研究改革は大学図書館の改革を抜きにしては効果的に実施できないと考えています。自分でも所属先の大学図書館で,大学の教育改革と深くかかわるさまざまな新規プロジェクトを実施してきました。大学図書館でのアカデミックライティング支援組織の構築・運営,ラーニングコモンズの学修支援重点型への再構築とリニューアル・オープン,リンク・リゾルバやウェブスケール・ディスカバリー・サービスの導入などです。
しかし,そうした新規プロジェクトなどの表面的な大学・大学図書館改革の動きのほかに,目に直接は見えないけれどももっとも重要な両者の課題があるわけです。それは大学の教育・研究に対する大学図書館専門職員の働きの質,ほんとうの成果・貢献が問われているのに,日本ではきちんと測定され評価されていないということです。このため大学図書館の運営を全て委託業者にまかせてよしとする大学もあるほどです。
歴史的に見て,欧米のライブラリアンがどれだけ大学の教育・研究に貢献してきたかということと比較して日本の大学がどれだけハンディを負ってきたのか,日本の大学の教育・研究のあり方と大学図書館のあり方がどれだけ複雑にからみあい連動してきたか―この点に日本の大学や社会はまだ十分に気が付いていないと思うのです。だから大学の教育・研究にたずさわる大学教員の方々にもぜひ本書を手にとっていただきたく思います。(著者 利根川樹美子)
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