2009.08.09 Sun
この季節になると、自分のにおいが気になる。それでなくてもこのところ、制汗剤をはじめ消臭スプレーやタブレットなど、「ニオイ」を消すための「エチケット」製品が出回っている。ここまで「ニオイ」に過剰に反応する現代社会は、一種のパラノイアとさえ思えてくる。小説『鼻』には、自己臭症に悩む刑事の「俺」が登場する。「俺」は、まさにこのパラノイアを先鋭化したような人物だ。
一方、もうひとりの主人公は、外科医の「私」。この世界には、テングとブタと呼ばれる二種類の人間が存在し、鼻を持つテングはブタに迫害されている。それは、あたかもホロコーストを彷彿とさせる。そこで「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する(そこでの救済の対象は、おなじみの「女性」と「子ども」なのだが……)。
妄想と現実が錯綜しつつ、幾重にも張りめぐらされた伏線がラストで一気に紐解かれる。読後しばらくは、背筋がぞっとすること間違いなし。まさに暑い夏にぴったりのホラー。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。(mooty)
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