もう民進党の代表になられた蓮舫さん、代表選挙の時の発言をいまさらと言われるかもしれませんが、「男なら泣くな」はやはりおかしいので言っておきます。

 9月8日の毎日新聞によると、前原さんが旧民主党政権の「失敗」を詫びたのに対して、玉木さんが涙ながらに「謝ってほしくない」と訴えたのを見て、「男なら泣くな」と注意したんだそうですね。朝日新聞は「浪花節だよ 代表選は」とからかった見出しをつけました。浪花節だと笑ってすませられない気分です。

 「男なら泣くな」は、「飲むなら乗るな。乗るなら飲むな」の標語に似ています。「飲むなら乗るな~~」の裏には「飲まないなら乗ってもいい、乗らないなら飲んでもいい」が貼り付けられています。同じように「男なら泣くな」を裏返すと「女なら泣いてもいい」が浮かび上がってきます。

 女性「総活躍」の「輝く」時代に、女は泣く性、男は泣いてはいけない性などと、いまごろなにを言っているのですか。いつまでも江戸時代のような女と男のありようを民進党の代表となろうとする人が言うので、浪花節とからかわれてしまったのですよ。

 蓮舫さんの、ズバズバと切り込んでいく話しっぷりは歯切れがよくて、耳に心地よいものがあります。ことばを濁さないで言い切る明瞭さは、政治家として大変貴重な資質だと思います。その調子で安倍さんと正面から論戦を展開してほしいです。

 しかし、浪花節は困ります。男が泣いたらどうしていけないのですか。男も女も泣きたいときは泣けばいい。女も男も怒りたいときは怒りましょう。普通の感情の表出を性によって制限するなんておかしいではないですか。

 室町時代の女子のしつけに、「女の子は大きな口を開いて笑ってはいけない。思っていることがあっても言ってはいけない」というのがあり、男の子のしつけには「腹が立つことがあっても言わず、人に言うべきことも言わないでいて、意のままになる人と思われるようなことがあってはいけない」などというのがありました。まさか、まだその尻尾を引きずっているのではないでしょうね。

 「男なら~、女だから~」はもういい加減やめにしましょう。「男」と「女」を「あなたなら、わたしだから、Aさんだったら、Bさんにとって、cさんこそ……」と個人に入れ替えてみましょう。 さすがに蓮舫さんも「玉木さんなら泣くな」とは言えなかったはずですから。