『敗戦直後を切り拓いた働く女性たち―「勤労婦人聯盟」と「きらく会」の絆 ~ 付論「労働組合婦人部」をめぐる変遷 』
伍賀偕子/2014年6月/ドメス出版 (四六判120頁1250円+税)
詳細はドメス出版サイトよりご覧ください。
敗戦直後の混乱期に自らの力で女性の労働権を確立するために、企業や労働組合の上部組織の枠を超えて、道なき道を切り拓いた「勤労婦人聯盟」(勤婦連=働く婦人の共同戦線)の足跡を辿る記録である。
長年の家父長的抑圧の中で培われた「男性への隷属」意識を脱却して、男性と対等に意見を述べ、自ら行動して要求を実現していく過程にどれほどの勇気が必要だったか、どのような言葉で呼びかけ(「女の職場は女で守らなあかん」)、どのように闘い連帯感を培ったかを、勤婦連のリーダーたち6名の聞き書きをもとに、記録として刻んだ。そこには、労働組合婦人部活動の原型が築かれている。
どこの労働組合史にも記録されていない、歴史的な記録として、多くの人たちと共有しあいたい。
もう一つの絆「きらく会」は、自らは「独身」「非婚」で生きることになった彼女たちが、勤婦連が解散して後も、総評運動初期を担ったリーダーも加わって、独身で自立して生き抜く支え合い、相互扶助をめざして結成された任意の組織である。今は3名しか存命ではないが、人生の最期を支え合った友情と絆、その生きざまを、女性労働運動史の中にしっかりと刻みたい。全国的な「独身婦人連盟」(独婦連)誕生の11年も前の志であり、「おひとりさま」が流行語となる50年も前の志である。
最後の<付論>は、戦前・戦後を通して、「労働組合婦人部」の変遷を概括的に跡付けた記録である。
非正規労働者が圧倒的に増えている今、後に続く者として、道を切り拓いてきた先達の勇気と連帯の絆を互いの内に育み合いたいと思う。(伍賀偕子)