
バービーのような身体サイズを持つことは現実には不可能である。バービーのような女性が実際に存在するとすれば,身長178cm,体重50kg,スリーサイズ89-51-84,そして靴のサイズは20.5cm となる。(「まえがき」より)
この19.95ドルの人形は子どもが抱く自己イメージや自己評価にとって重要であるとみなされてきた。実際、多くの世界中の子どもたちは、バービーと自分自身の姿を重ね、憧れたり、それに近づこうと努力をしたり、落胆したりしてきた。
なぜ私たちは、こんなにも多くの時間を自分の見た目について考え、時には執着してしまうのだろうか。なかには自分の身体について恒常的な不満を感じる醜形恐怖症(BDD)を患う人々も存在する。不自然なまでに画像処理された「理想的」な広告モデルの姿を日常的に目にすることなどが原因かもしれない。
「身体」というあまりに身近であたりまえの存在が、実は、いかに歴史的・社会的に構築されたものかを示す本書は、広範かつ端的であり「身体学(ボディ・スタディーズ)」を学ぶための入門書として最適な1冊である。本書では肥満・痩身、身体加工、身体の商品化といった明らかに身体に関わる事柄に加え、健康と病、老い、生殖、人種・植民地主義、ジェンダー、セクシュアリティ、階級、美しさに関わる様々な問題について身体を切り口に論じている。その中で、多数の具体例を示しながら、いかに文化というものが身体に刻み込まれているのかを初学者にもわかりやすく示している 。
私の「身体」はいったい誰のものなのだろうか?私の「身体」は他ならない私自身のものであると一体どこまでいえるだろうか。本書は、私たちの身体がこれまで(そしてこれからも?)いかに利用され、争われ、意味づけられてきたのか、改めて考えるきっかをもたらしてくれる。
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