
Ⓒ TBS テレビ
監督も知らない、役者も知らない。
ひと足先に試写会で、観て感じたまんまをいけしゃぁしゃぁと映画評。
筆/さそ りさ
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あまりにも沖縄について知らなさすぎた。
米軍支配と闘った、否、いまも闘っている人たちの強固な意志。
彼らに対する差別と抑圧の歴史。
そして、瀬長亀次郎という人が、占領下における圧政、弾圧、妨害に屈することなく民主主義を求め貫いたことも。
現実、沖縄では普天間基地の辺野古への移転反対の闘争が続けられている。
街中から基地を移すのだから危険性や騒音等々から解放される策として良いではないか、と日本政府はいささか強引に辺野古沖での工事を進めている。
亀次郎さんが生きていたらどういう対策を巡らすのか。
このドキュネンタリーを観ることで、亀次郎さんを通して沖縄の人たちの戦いの意志を理解することができる。
「そういうことなんだ。」
2015年、ジャン・ユンカーマン監督のドキュメンタリー『沖縄 うりずんの雨』を観た。
沖縄の人たちや元米兵たち一人ひとりへの取材を介して、基地などの負担を浮彫りにし、沖縄の人たちの深い失望と怒りの源泉を描き出した作品だ。
沖縄の人たちは、一日も早い本土復帰を望んだ。基地から解放されることを信じて。
しかし、そうはならなかった。本土では、米軍基地の整理縮小が進むも、沖縄では多くの基地が残された。
(2017年現在、全国の米軍専用施設面積の約7割が沖縄県に集中しているのである。)
基地がそのまま残ることに亀次郎さんは強く異を唱えている。
瀬長亀次郎、1907年生まれ。20代中頃から彼の闘いは顕著になる。
1956年12月、那覇市長選に出馬。米軍の妨害を受けるも市民の支持を集め当選。
1970年、戦後沖縄初の衆議院選挙で当選。そして、当時の総理佐藤栄作と国会でやりとりするシーンがあるが、亀次郎さんの論が鋭い。
その賢明な姿を観て、あの頃の議会が機能していることに羨ましく思えてしまう。
辺野古への基地移転工事は留まりそうもない。
返す返すも、いま亀次郎さんがいないことが残念でならない。
かつて、亀次郎さんの闘いを、米軍側について妨害した住民がいたことも事実。
辺野古への移転賛成派もいる。思惑はどこにあるのか。
いまこそ本土の人たちに、この亀次郎さんのドキュメンタリーを観てほしい。
特に、政治に関わる人にこそ『沖縄 うりずんの雨』と合わせて。
米軍も認めた亀次郎さんの「不屈」の精神。それを綿々と受け継ぐ沖縄の人たちの底力は絶えることがないだろうし
その精神を尊重しない政治は、いつしか破綻するであろう。
この作品を観て、強く実感した。
2017.8.18試写
2017年8月26日(土)東京・ユーロスペースほか、全国順次公開中

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