今回もロンドンを離れますが、前回ご紹介した場所からはかなり北に進んだ都市です。
ある方の例えを借りるならば、私が学んでいた大学は東京(ロンドン)郊外にある埼玉に位置し、
今回ご紹介する古都ヨークは、イングランドの「奈良」とも言うべき街です。
イングランド北部にあるヨークは、今でも多くの観光客を惹きつける美しくて歴史的な街です。
街の周囲を取り囲む城壁の上に昇れば、街をぐるりと一周散策することができます。
街の中心部にそびえ立つゴシック建築様式のヨーク・ミンスターは、ヨークに来たら必ず訪れたい場所です。
世界最大級の大きさを誇る大聖堂の外観の美しさもさることながら、内部の装飾や中世のステンドグラスも目を見張るものがあります。
入場料を支払えば、塔の上まで昇ることもできますよ。
ヨーク・ミンスターには、バラをあしらったバラ窓のステンドグラスがあります。
「ヨーク」「バラ」と聞いて思い出されるのは、イングランドで百年戦争後に起きたバラ戦争でしょう。
15世紀に起きたバラ戦争は、白いバラを家紋としたヨーク家と赤いバラを家紋としたランカスター家の王位継承権を巡る争いでした。
戦争はランカスター家派のヘンリー7世とヨーク家のエリザベスの結婚によって終結し、二人の間に産まれた子供が離婚問題で有名なヘンリー8世です。
ヨークの街を歩けば、中世の歴史も自然と身近なものに感じることができます。
もう一つ、ヨークに来たら訪れるべき場所と言えば、駅の近くにある国立鉄道博物館です。
さすが鉄道発祥の地イギリスならではの施設で、かなり詳しい鉄道に関する資料や実物が展示されています。
驚いたことに、日本の初代新幹線0系も展示されていました!
中に入ることも可能で、日本語で書かれた表示板や座席などもそのまま展示されています。
当時のチラシや駅弁の紹介がされていて、幼い頃の記憶が甦りました。
もちろん、イギリスの蒸気機関車なども展示してありましたが、新幹線が人気を集めていたのが印象的でした。
さて、この地方の食べ物も紹介しておきましょう。
ヨークといえば、ヨークシャー・プティングが最も有名です。
プティングと言っても、「プリン」ではありません。
シュークリームの皮のようなもので、ローストビーフなどの肉料理には定番の付け合わせです。
そこにグレイビーソースをかければ、完璧なイギリス家庭料理の完成!となります。
最後に、ヨークの街角にあるアフタヌーンティーで有名なBetty’sを紹介します。
約100年前に創業した老舗のティールームは、連日お客さんでいっぱい。
アフタヌーンティーのセットを注文し、素敵なお店の雰囲気と共にサンドウィッチやスウィーツ、そして紅茶を堪能しました。
イギリスの食べ物の評判はイマイチですが、どのお店でも紅茶とスコーンは絶品です!
ヨークを訪れて印象深かったのは、街の人や店員さんがとても親切だったことです。
もちろん、英語もロンドンとは違うヨークシャー・アクセントが聞けます。
ぜひ色々な土地をめぐり、そこの食べ物や風景、そして「人」と触れ合ってみてください。(つづく)
■ Megure Yui ■