
高度経済成長とともに年を重ねた「団塊世代」。就職氷河期のため安定した雇用に恵まれなかった「団塊ジュニア」。二つの世代間の親子関係に今、非婚・長寿・介護などの家族リスクが襲いかかっています。両世代を代表する論客の二人が、私たちを取り巻く社会・経済的な現実とその対策について、10時間(!)にわたって論じ合った白熱対談を書籍化しました。
本書の読みどころはズバリ「世代の痛み」です。
団塊ジュニアは、貧困・格差問題という痛みを抱えています。これらの問題は、長い不況・男女雇用機会均等法以後の労働の弾力化などの社会背景に因るところが大きく、団塊ジュニア個人の責任に帰せられるものではありません。したがって、戦後の経済とともに成長した団塊世代は、「私たちの痛みに無自覚ではないか」と団塊ジュニアに詰め寄られれば、言い訳できないかもしれません。他方、団塊世代の女性の多くは痛みを強いられました。団塊世代内のジェンダー格差は見過ごされてきた問題でもあります。両世代が相手世代の痛みをともに知ることで、世代間の邂逅もできていくのではないでしょうか。
上野千鶴子さんはあとがきで、こう書いています。
<わたしは子どもを産まなかったが、わたしの世代が育てた子どもたちに生き延びていってほしいと思う。できれば幸せに、生きてほしいと思う。その次の世代についてもそう思う。すべての時代は過渡期で、すべての世代は道半ばで斃れるだろう。自分の前に連なるひとびとの群れと、自分の後に連なるひとびとの群れに気づく時、わたしたちには責任が生まれる。それに気づくのに、40代はじゅうぶんな年齢だろう。>
あとがきを読んで、40代になった団塊ジュニアや私たち孫子の世代へ向けた励ましだと感じ、胸に熱いものが込み上げてきました。「親子が共倒れしないために――」、ぜひ皆さんにも著者二人の決意表明について、本書を手に取って触れて頂けたら嬉しいです。(編集者)
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