
イタリア観光の主流は宿泊と旅と食と景観を結び付けたアグリツーリズモ。 農家を改装し快適に泊まれる宿が2万軒以上もある。地元の食材の手料理を食べ、ワイナリーやチーズ工房を訪ねる。都市では味わえない楽しみだ。
日本より早やく地方からの若者の流出が始まったイタリアでは、農村の家をうまく生かし、食文化、景観、余暇、出会いをマッチングさせた新たな観光事業が生まれた。農・旅・食・歴史・風景・体験を融合させる新たな持続的な暮らしの経済的仕組みだ。同時に農業も地方も潤い、若者の雇用も作っている。さらに国民投票で原発を廃止。再生可能エネルギーがどの農村にも入っている。
地域にもともとあるものを徹底的に調査。その文化、歴史、技術など総合力を結集しトータルに売っていく仕組みだ。そしてアグリツーリズモを学ぶ講座も行われ、学んだ人たちに投資をして、地域産業を育てていくこともされている。
地域の知恵と力の集積でパーソナルが生まれる。どこにもない訴求力ができる。グローバルになったいまだからこそ、ローカルの力が問われる。ボトムアップのマネジメントこそが未来を創造する。
日本でも各地で新たなムーブメントが生まれている。
若い観光協会のスタッフが台湾に営業し、雪深い山村の農家民宿での、お母さんたちの手料を楽しんでもらう旅を生み出し、台湾客が多く訪れるようになった山形県飯豊町の山村。
一方都会や近郊では、古い民家、倉庫、商店などをリノベーションし、ゲストハウスにしてインターネットを通して海外客を多く迎える若い人たちが生まれている。彼らは、地元のレストラン、銭湯、神社などをつなぎ地域全体を旅の楽しみとして提供している。
埼玉県さいたま市では、若い農家、種屋、飲食店の流通業者、レストランのシェフなどがコラボレーションをして、海外で学んできた料理人が欲しい野菜を栽培をし、まったく新しい販売手法を生み出した。それを市が支援。そしてここしかできない料理を提供することで、経済につなぐという、これまでになかった付加価値を創造し始めた。
和歌山県田辺市では、大学、市、金融機関、事業者が一緒になって、地元の若者の起業を支援する塾を開講した。箱もの行政ではなく、人を育てる学びの場だ。
このように各地では未来を創造する動きが大きく台頭し始めている。それらのノウハウの連携が、これからの時代を間違いなく創っていくのだろう。
農村観光、農家宿泊、グリーンツーリズム、インバウンド、ゲストハウス、食のテキスト化とワークショップ、地理的表示、地域連携のマーケティング、六次産業、稲作の集約と付加価値づくり、行政・大学・地域連携の人材育成事業、地方移住・定住、離島振興など、各地で行われている実践事例を取り上げる。具体的な現場からノウハウの積み上げこそ地方創生の力となる。
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