
みなさんは、「深夜営業」「24時間営業」「年中無休」これらのことを当たり前だと思っていませんか。
日本国内だけを見たら、ごく普通のことかもしれませんが、世界全体、特にヨーロッパではあまり見かけないものだそうです。
私がこのことに興味を持ったきっかけは、ドイツからの留学生でした。
彼女から「ドイツには24時間営業の店なんてない。日本には24時間営業の店がたくさんあって、かえって気持ち悪い。」と聞いたときにとても驚きました。
ドイツにはコンビニがない?気になって調べてみたところ、ドイツでは働く時間が法律で決められていて、限られた時間の中で無駄なく仕事をしていることが分かりました。
日本と比べると、とても割り切った考え方です。これがドイツでは当たり前。私が今まで常識だと思っていたものは間違いだったのでしょうか?
日本の現状は、年間の労働時間が1745時間で、これには残業時間が含まれていません。
実際にはもっと長いと言われています。次に有休休暇の消化率についても、五割と世界でも最低クラスに位置しています。そして実質労働生産性は、主要七か国の中で最下位というデータもあります。
一方ドイツでは、年間労働時間は1393時間。有休休暇の消化率はほぼ十割に達しています。実質労働生産性においても、日本を上回っており、主要七か国の平均よりも上にいます。同じ「モノづくり大国」を目指す日本とドイツで、こんなにも大きな差がありました。これほどの違いが生まれる元として、労働環境の違いが挙げられます。
日本の労働環境の問題点として、非効率的な長時間労働、残業をしなければ生活していくのが苦しい程の低賃金などがあります。長時間労働のメリットを挙げるならば、達成感が得られることくらいでしょうか。それ以外は、体調を崩す、パフォーマンスが下がるなどのデメリットばかりで、さらにひどくなると、過労死につながることもあります。家族や友人との時間も取れず、まさに百害あって一利なしの状態です。それに加え、日本人一人当たりのGDPは主要七か国で最も低く、非常に効率が悪いことがわかります。
ドイツの働き方を見てみると、一日十時間を超える長時間労働は法律で禁止されています。長時間働いて成果を上げる社員は評価されず、短時間で成果を上げる社員がドイツでは最も評価されます。また、仕事に関するデータは全て電子化し、同じ部署のメンバーが誰でもアクセスできる共有ファイルを作っておくことで、担当でなくても問い合わせには答えることができます。そのため、社員が2、3週間のまとまった休みを取っても、何も問題が起こらないのです。
なぜ日本は、そこまで効率の悪い働き方をするのでしょうか。
それには長時間働くことを美徳とする考え方や、定時で退社することをよしとしない風潮が背景にあるからです。それに、日本は戦争でアメリカに負けたため、全てを失いました。しかし、朝鮮戦争が起こったことにより、軍事的な需要が高まって、働けば働いただけお金になる。そしていい生活ができる。そういう時代があったことも一つの要因として挙げられます。
そして、原因は私たち消費者側にもあるということを忘れてはいけません。私たちが何かを必要とすれば、提供する側はそれに応えようとします。つまり、行き過ぎたサービスを「当たり前」だと思っているうちは、便利すぎる日本を変えることはできません。
このまま行き過ぎたサービスを続けたとして、いつまでそれを維持できるでしょうか。
あと3年もすれば、団塊の世代が七十代に突入し、世間ではますます高齢化が進んでいきます。そう遠くない未来に、需要と供給のバランスが崩れていくことでしょう。それに長時間労働という働き方は、今の時代にはそぐわないものです。今、長時間労働を見直す時期にきています。現状を変えていくために、ヨーロッパの働き方を見習って、取り入れていくべきだと考えました。
日本のサービスは水準が高く、とても便利です。しかしこれは日本国内という狭い範囲での「普通」であって、決して世界の「普通」ではないことが分かりました。
物があふれ、24時間いつでも手に入るのは、便利ではあるけれど、豊かな生活ではありません。
むしろ、足りないものは工夫して自分で作り、家族や友人との時間を大切にすることが豊かな生活につながると思います。今あるサービスを減らすことで生活にゆとりができ、やりたいことに時間をあてることができるなら、私たちの「普通」を変えませんか?
■ 豊橋中央高校2年 佐藤 陽(さとう みなみ)■
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