
この本のことが、ネットで紹介され始めると、さまざまな反響のコメントが溢れ出した。47万部のベストセラーとなった『言ってはいけない 残酷すぎる真実』をはじめ、ビジネスマンに大変人気のある著者なためか、すぐに本を読んだ男性も多く、「男性も読むべき」という意見が多数見られたのは、心強かった。
一方、本を読まずに言っているらしき、「こんなこと言って女性をあおるから、少子化になるんじゃないか」、「誰が家事や育児をやるんだ。そんな時間は男にない」といった、旧態依然とした男性の意見も多かった。
女性の意見は、大きくわけて3つ。①「なんとか頑張って働いている自分にとって励みになった」、②「子育てしながら働くのは無理。専業主婦も頑張っているし、立派な仕事だと思っている」、③「なりたくて専業主婦になったわけじゃない(本当はバリバリ働きたい)」。
①②は予想の範囲内だった。②に関しては、もっと炎上するのではないかと思っていたくらいだ。「こんなこと言われて不愉快」、「何にもわからない男性が勝手なことを言っている」等々の怒りのコメントがあった。もっとも、実際に本を読んだわけではないらしいので、誤解している部分もあるが、このタイトルを見てそう思ってしまうのは無理もない。
想像以上に多く、そして、②とは違う意味で、静かな怒りを感じさせたのが、③の皆さんだった。「いまどき、望んで専業主婦になっている人のほうが、少数派なのでは? みんな泣く泣く辞めている。保育園に入れないとか、職場にいづらいとか、さまざまな理由がある」。
こちらに関しては、まさに「仕方なく専業主婦になる人たち」という項を設けて説明している。日本の会社はいまでもまったく矛盾だらけで、圧倒的な男女格差。高卒男性でも7割が課長になっているのに、大卒女性の割合は2割以下。
保育園不足は周知の事実だが、なんとか確保して産休明けに出社しても、待っているのは「マミートラック」と呼ばれる本流から外れた仕事。出世も期待できず、やり甲斐のない仕事で能力を浪費するしかない。そんなことならいっそ……というわけだ。
男女問わず、「ふたりで働いたほうがいいのは、わかっている。でも今の日本の社会でそれをやるのは無理」という意見も多かった。
この本で提案しているのは、「世の中が間違っているということを前提としたうえで、どうすれば幸せになれるか」だ。
そのために知っておかなければいけない現実を、データを踏まえて解説している。ときに耳に痛いこともあるかもしれないが、同意してもらえることも多数あると思う。
専業主婦批判をしているわけではもちろんない。2億円という数字は、大卒女性が60歳まで働いた場合の平均年収(退職金除く)だが、2億円稼がなければいけない、ということでもない。
男性も女性も、これからは柔軟な働き方をしていくしかなくなるだろう。会社を辞めても、仕事はやめない。自分のスペシャルを見つけて、60以降も長く働く。そういう生き方のヒントになればと思っている。
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