1月16日(火)の晩、「GENPATSU ZERO! 反原発新年会2018」(主催:首都圏反原発連合)に行ってきました。首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんからWAN理事長の上野千鶴子さんへご招待があり、上野さんがご都合つかずにいらっしゃれないため、代わりに私が参加させていただくことになったからです。レクチャー2本にライブにと、なかなか盛りだくさんなイベントのようで、期待を胸に2018年初のトーキョーへ。JR阿佐ヶ谷駅から歩いて2分というアクセスの良さに助けられ、会場の阿佐ヶ谷ロフトAに難なく到着。
午後7時半すぎ、衆議院議員・山崎誠さんのお話からはじまりました。題して「原発ゼロ基本法案実現に向けて」。
山崎さんは現在、立憲民主党のエネルギー調査会で事務局長をされています。3.11以前から原発問題に取り組んでおられるそうで、そういえば確かに上関原発の予定地に足を運ばれた国会議員のひとりとして、お名前に聞き覚えがありました。
山崎さんのお話で印象深かった点を、ここで少しご紹介します。
◎エネルギーシフトは社会変革
・大規模で中央独占型の原発や化石燃料から、小規模で地域自立型の自然エネルギーへ。
・原発ゼロ+省エネ・再生エネルギーへのシフトは、20世紀の中央集権型の社会システムから、21世紀にふさわしい環境調和・分権型社会システムへの、社会変革のプログラムとなる。
・世界では、集中から地域分散へという「第4の革命」が起きている。これにより、お金が(中央に吸いあげられるのでなく)地域でまわる、新しい仕組みができる。
◎原発ゼロは政治決断
・今すぐ原発ゼロは可能。
・政治が決断すれば、社会・経済は変わってゆく。
・原発ゼロの決断はすぐに、その後のプロセスは時間をかけて丁寧に、おこなうことが大事(原発のカネ漬けで長らくやってきた原発立地自治体への経済支援など。原発に頼らない経済へ)。
「原発立地自治体」の範囲が気になり、山崎さんに質問してみました。実際に原発が立地している自治体のみでなく、周辺自治体など広く考える必要があると思っている、とのこと。そこで、「例えば上関や大間といった、長らく原発の新規立地の予定地となっている自治体でも、国の交付金や電力会社からの寄付金など原発のカネ漬け状態は起きている。そうした地域も含めて検討いただくと、原発ゼロの実現に役立つのではないか」と、私からも検討をお願いさせていただきました。
山崎さんの原発ゼロへの情熱は、お話を伺うなかで伝わってきました。今後も注目したいと思います。
つづいて、脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之弁護士から、昨年12月の広島高裁の伊方原発運転差し止め決定のお話です。この仮処分の申立てでは、争点が10点あり、そのうち、勝ったのは唯一、火山についての点のみ、ということでした。もう少し詳しくお伝えしますと:
◎火山という争点で、どういう理由で勝ったのか?
・火山の噴火の際、例えば火砕流(=熱、ガス、砂、大きな石を含んだもの)はスゴイ勢いで出る。
・火砕流がかかったところは、原発であれ人であれ致命的な影響を受ける。
・火砕流がかつてなかったことの立証を、裁判所は四国電力に求めた(火砕流が、かつてなかったところのみ、原発をつくっていい、というのが現在の新規制基準だから)。
・しかし、四電は立証できなかった。
→勝訴へ。
河合さんのお話は幅広くつづきます。たとえば・・・:
◎原発とたたかう、とは?
・すなわち、原子力ムラとたたかう、ということ。
・原子力ムラは、現在の日本の社会の6~7割を占める勢力。その意向を忖度する人びともいれると、現在の日本社会の9割ほども占める存在。
・ゆえに、このたたかいは、社会の9割の人びとを相手にするに等しい。
・言い換えれば、日本の権力構造、社会構造とたたかう、ということになる。
◎世に様々なたたかいがあるなかで、原発とのたたかいが一番重要と考えるわけは?
・もう一回事故が起きたら、日本社会は壊滅状態に陥るから。
・すべての社会問題は、原発事故の前に吹っ飛ぶ。原発事故がおきると、すべての前提が崩れる。
・逆に言うと、すべての社会問題に取り組む人は、原発の問題も頭の隅にいれてほしい。
◎原発ゼロ、即ゼロを求める声の状況とチカラ
・この7年、日本の社会は、実際にほとんど原発ゼロでやってこれた。
・そのことが、人びとの意識にジワジワ染み通っている。
・「原発ゼロなんて現実的でない」という主張が通用しなくなった。
→原発ゼロ法案へ。
「日米原子力協定があるから原発に反対してもムダだ」と思っている人が、原発ゼロを願う人にも増えた、でもそれは大きな誤解だ、という言葉も印象に残ります。
寸暇を惜しんで飛び入りトークも。菅直人さん、香山リカさん、西谷修さん…。
市民運動の良さとともに、その弱さを乗越えるしたたかさを! と菅さん。次の選挙で、原発ゼロを公約にする候補を増やそう、そのためには自分たちで候補者を立てていこう、著名な人もいいが著名でなくても信頼できる人を立てて押し上げる、1000人委員会をつくってひとり200票集めればいける…等など。
精神科医としての香山さんの経験も興味深かったです。曰く、3.11のころ相談にくる人が多かった。それでも、こういう事故はこれが最初で最後、もうないよね、と言っていた。あれだけの事態を経験した日本社会が、その原因である原発を、また動かすとか輸出するとか、まさか起き得ないと誰もが思っていたから。その「まさか」が起きている…。
そして始まったBAKIさん(@bakimos)のライブ。ギターを弾きながらの熱唱、特に最後の曲(「祈り」?)が印象的でした。最後は大プレゼント大会というお楽しみもあり、2時間以上があっという間。日ごろは官邸前など屋外で集まる人びとが、年に一度は屋内で、原発問題の情報も共有しつつ楽しい時間をともにすごすーーとても貴重なひとときでした。(山秋 真・記)
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