アジアと生きる アジアで生きる

著者:榎本泰子

樹花舎( 2018年03月23日 )


 近年私たちの日常の生活風景の中に、アジアの人々の姿は珍しくなくなりました。経済発展や情報通信技術の発達によって、国と国を隔てる壁は低くなり、旅行・留学・NPO活動など、市民レベルの交流が活発に行われるようになっています。本書は2016年に中央大学文学部で行われたオムニバス講義「アジア共同体を考える──共に生きるための15のヒント」(ワンアジア財団寄付講座)を元に書籍化したもので、さまざまな分野の専門家がアジアの人々との共生をテーマに語っています(目次参照)。
 編者を含む15名の講師のうち、半数に及ぶ7名が国内外から招待した女性であり、その話題も韓国のLGBT、トルコの不妊治療、カンボジアやミャンマーにおける医療支援など多岐にわたります。人間が抱える普遍的な問題や、共通の感情・思想を国境を超えて共有し、助け合っていこうという姿勢が、地域の平和や安定につながることが見えてきます。政治主導の国際情勢が混迷を深める現在、民間が果たすことのできる役割を再考するのにふさわしい一冊です。

目次:
「アジア共同体」に関心のあるみなさんへ――私たちは今、どこに立っているか (榎本泰子)
アジア共同体とは何か――個人の生き方が世界を変える (鄭俊坤)
アートから見るアジア共同体――民族の個性と自然を盛り込んで (金大偉)
人権から見るアジア共同体――人権こそアジア的価値から生まれた (柳玟煕)
演劇から見るアジア共同体――舞台で生かすアジアの個性 (飯塚容)
詩から見るアジア共同体――夢や希望を実現可能なヴィジョンにする (大田美和)
映画から見るアジア共同体――ドキュメンタリーで知る世界のリアル (藤岡朝子)
歴史から見るアジア共同体――日本はユーラシア大陸とどう関わるか (妹尾達彦)
女性から見るアジア共同体――不妊に悩むトルコの女性に寄り添って (村上薫)
アジア共同体の創成に向けて――自我を「卒業」し人間のための世界をつくる (佐藤洋治)
医療から見るアジア共同体――人道支援のネットワークを構築する (長谷川彩未)
宇宙から見るアジア共同体――宇宙で取り組む人類の平和共存 (ロマーナ・コフラー)
宗教から見るアジア共同体――アジア的思考の習合としての日本神道 (鎌田東二)
音楽から見るアジア共同体――異文化との融合がもたらす豊饒 (趙維平)
市民社会から見るアジア共同体――政治・外交から独立した市民中心の交流を (麻生晴一郎)