東京に生まれ、40歳にして栃木で自宅をつくりながら生活する大工、明良佐藤。
経歴も名前も一風変わった彼が紡ぐ、今までにない憲法論です。
著者は幾度となく「びっくり!」しながら、「若い君たち」に向けて日本国憲法の大切さを力強く説きます。中高生でも読めるようにとの配慮から、易しい言葉遣いで綴られています。とはいえ内容はかなり本格的。
上野千鶴子様より帯の推薦文を頂戴し、憲法に詳しい弁護士の澤藤統一郎先生に査読していただきました。
著者の名前も本書のキーワードのひとつです。
「小関明良」が結婚を機に「明良佐藤」を名乗るようになったエピソードが憲法第24条の解説に書かれています。
根強く家父長制を強いる社会習慣に対し、かなり先進的なことが書かれている日本国憲法。
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。(第24条)」
この夫婦平等を唱える条文に著者はうなります。
著者はお連れ合いの姓である「佐藤」に改姓し、「佐藤明良」となります。すると「佐藤さん」と呼ばれ出し、「婿養子に行ったの?」と言われてしまいました。困った彼は、姓名を逆にした「明良佐藤」に落ち着きます。家父長制に抗したこのような改姓をしたのは彼だけではなく、彼の周りにも何名か改姓した男性がいるそうです。
「戦前から戦後のいまも、ずーっと男社会であった日本の社会が変わる。日本人には、意識革命が必要なのです。」と、男性が改姓すること、女性が改姓を拒むことが男性中心社会を変えるきっかけになると著者は考えています。
現在も改姓比率は圧倒的に女性が占めています。せっかく憲法が男女平等を謳っていても、それを実現させない社会があります。
憲法の示す理想が実現されていないのは、男女平等条項だけではありません。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
二.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦
権は、これを認めない。」
そう明言している第9条は、第二次世界大戦での敗戦を受けて誓われたものです。
たやすく改憲を許してしまっていいのでしょうか。
憲法の描く理想を私たち主権者の手に取り戻すために。多くの方に読んでいただきたい本です。
2019.02.21 Thu
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