第七官界彷徨

著者:尾崎 翠

太田出版( 2018-12-08 )


尾崎翠『第七官界彷徨』は、1933年の刊行以来、常に読まれる古典として、たえず再評価され続け、まったく古びることなく、その計り知れない可能性にさまざまな人たちが惜しみない賛辞を与えています。

私は「第七官界彷徨」を読んで、日本の小説はこの一作でいいとすら思ったこともある。――――群ようこ『尾崎翠』(文春新書/文藝春秋)より。

尾崎翠の作品もその生涯も特異で、ある種の人びとの心に深く取り憑く。「尾崎翠だけ読めばいい。これさえあれば生きていける」と思わせる。――――中野翠「編者あとがき」(『尾崎翠集成』上巻 ちくま文庫/筑摩書房)より。

尾崎翠の小説で描かれるのは、名前のつけられていない世界であり、名づけて安心することを決してしない人々である。/私はあのとき、一人の作家に出会うことで、自分のなかの何かがすくわれたのだと、いまでもそう思っている。――――角田光代「退屈な隙間の、幾重もの現実」(『鳩よ!』1999年11月号、マガジンハウス)より。

私は、尾崎翠の文章をすこし読むだけでも潤いを与えられ、心が豊かになる。/どんな短い作品にも生命が吹き込まれている。――――吉行理恵『尾崎翠全集』全一巻(創樹社)書評(『週刊読書人』1980年3月17日付、読書人)より。


かの女の作品には、戦中や戦後にスポイルされない、戦前のみずみずしい哲学的青春が脈打っている。――――花田清輝『安部公房集』(筑摩書房)解説より。

「第七官界彷徨」と云う作品には、どのような女流作家も及びもつかない巧者なものがあった。――――林芙美子「落合町山川記(抄)」(『林芙美子全集 第十巻』文泉堂出版)より。

尾崎翠はそれまで誰も書かなかったような小説を書いた。/尾崎翠の場合は本能的に探り当てた文体であり表現であって、だからこそ古びない。――――池内紀「講演:尾崎翠の新しさ」(『尾崎翠を読む』講演編Ⅱ、今井出版)より。


さいごまで古びない、未来を約束された文学がここにある。――――矢川澄子「二人の翠をめぐって」(『ちくま日本文学全集〇二〇 尾崎翠』筑摩書房)

その尾崎翠の代表作『第七官界彷徨』を、大西巨人「神聖喜劇」(全6巻・幻冬舎)で、日本漫画家協会賞大賞&手塚治虫文化賞新生賞を受賞した作家、のぞゑのぶひささんによって漫画化しました。


那須高原で晴耕雨読しながら5年の歳月をかけて描き下ろしたのぞゑさん渾身の美しい描写はオールカラー、A4判のハードカバー仕様という豪華装丁となりました。ぜひともご覧ください。

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