女の本屋

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『やったら、やめられない 薬物依存をのり越えて』和田明美

2010.03.12 Fri

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薬物依存症だったヒロシの話でスタートするが、摂食障害や援助交際、リストカットをしていた女性の話も展開している。摂食障害だったマユミは、「家」の中で母親や嫁の役割をしなければならなかった母の姿を自分に投影して、「母=女」を拒絶する行為として、摂食障害をしていた。また、拒絶は自殺願望にもつながっていくが、内的に「母=女」を「殺す」という作業を試みようとすることだったのだと、私は解釈している。母の姿、つまり「ジェンダー」は、心の病の大きな要因になりうると私は感じている。それは、女性にとってだけでなく、男性にとってもだ。援助交際をしていたミカは、学歴社会に敗北したと内心、思っている父から、試験の成績についてうるさく言われ、90点以下を取ると殴られた。良い子を演じていたミカにも限界がきて、リストカット、摂食障害、援助交際という病が表出してくる。

それぞれの実話の男女3人は、心の底に「親に捨てられた」のだから、復讐として「親を殺したい」。同時に「親に捨てられたくない」という矛盾する感情を併せ持っている。しかし、親への依存から離脱するころには、その矛盾した感情に折り合いをつけていくのだろうと私は感じている。(和田明美)








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