
こんにちは、有北雅彦と申します。作家やライターとしてものを書いたり、イタリアの本や映画の翻訳にたずさわったり、いろんな学校で進路指導講師をしたりしながら、「かのうとおっさん」というコメディーユニットを主宰して20年になります。
その演劇作品をとおして、ぼくはこの20年間、ちょっとクレイジーな人びとの生きざまを継続して描いてきました。しかし、ときに現実はフィクションよりも魅力的で、世の中には、ぼくなんかには想像もつかないようなおもしろい生き方をしている人たちがいっぱいいます。そんな、「なんでそんな生き方してるの?」「その生き方で食べていけるんだ!」という「先輩」たちに、ふだんの生活、仕事内容に収入、結婚や人生観についてまで赤裸々に語ってもらい、まとめたのがこの本、『あなたは何で食べてますか?——偶然を仕事にする方法』です。
ぼくが魅力的だと感じた人をピックアップした結果、いろいろな収入源をもっている先輩や、はじめは別の仕事をしていたけど、まったくの新天地に飛びこんだ先輩が多く出そろいました。
素潜り漁師でありながら地域活性化に尽力する中村隆行さん。珍スポトラベラーという妙ちきりんな肩書の裏で、薬剤師でもある金原みわさん。切り似顔絵師と名乗りながらイラストレーター・お祭りプロデューサー・音頭歌手など、マルチすぎる顔をもつチャンキー松本さん。
たとえば、アドベンチャーランナーの北田雄夫さんにスポットを当ててみましょう。アドベンチャーランナーというのは、砂漠やジャングル、南極大陸など、過酷な環境を数百キロ、一週間も二週間もかけてたったひとりで踏破する、恐ろしい競技です。ではその競技者である北田さんは、どうやって食べているのか? レースに優勝したら賞金があるんでしょうか? ……いいえ、賞金なんてないです。むしろ参加費がかかります。南極大陸レースでは、なんと参加費が150万円だったそうです。しかも渡航費も食費もぜんぶ自腹! ……それで、どうやって食べてるんですか……?
などといった、ちょっとおもしろい働き方(生き方)をどうやって実現しているの? という謎に、できるかぎりストレートに迫りました。
ぼくは、進路指導という仕事でいろいろな高校を回るなかで、若い世代が、道をはずれることや失敗することを恐れる風潮を強く感じてきました。結果、そもそも進路を選べなかったり、ひとつの選択肢に執着しすぎて、それがダメだったら挫折してなかなか立ち上がれなかったりする。場合によっては、社会復帰できなかったり、死を選んだりまでする。その気になれば、ほんとうにいろんな情報に手が届く世の中なのに、自分の見知った世界にとどまっている。視野のせまさは、未来をせばめてしまいます。
そういえば、イタリアに、こんなバルゼッレッタ(小噺のこと)があります。
ひとりの男が病院にやってきた。
「先生、お腹をさわると痛いんです。鼻もさわると痛いです。胸をさわっても痛いです。ぼくは、なんの病気なんでしょうか?」
「あなたは、指を骨折しています」
ひとつの視点からだけものごとを見ていては、本質を見誤ってしまいます。生き方や働き方を考えるときにも、一度違った視点から見てみることが大事ですね。それが、生き方の選択肢を広げるということにもつながりますから。
先輩たちがいままで生きてきた足跡には、そのヒントがいっぱいつまっています。生きたいように生きて、なおかつ地に足をつけて生きていけたら、こんなに幸せなことはありません。これから社会に出ていく若い世代や、年齢問わず、人生の岐路に立つ方々に、本書を手にとっていただければうれしいです。
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